「若年性乳がん」の発見のためにマンモグラフィーによる検診を推進してはいけない

小林麻央「若年性乳がん」 乳がん全体のわずか2.7%
以下は、記事の抜粋です。


歌舞伎俳優の市川海老蔵(38)が、キャスターで妻の小林麻央(33)が乳がんを患っていることを告白した。

日本乳癌学会のデータベースによると、若年性乳がんは乳がん全体の2.7%で、それほど多くない。ただ、一般の乳がんとは違った性質を持つことが少なくないという。乳がん検診専門のベルーガクリニック院長の富永祐司医師は、「若年性乳がんには“トリプルネガティブ”というタイプが多い」と危惧する。


関連記事によると、乳がんはその遺伝子異常によって大きく4種類に分類されます。上の記事に書かれている「トリプルネガティブ」タイプはその1つで、中高年に多い通常の乳がんとは区別され、原因と治療を考えると、ほとんど別の病気と言っても良いタイプの乳がんです。

有名人が罹ったからといって、若年者に対して乳がんの「早期発見、早期治療」を勧めるのは早計です。上の記事に書かれているように、若年性乳がんは乳がん全体の2.7%しかない上に発見が難しいので、がんを見つけるために、不要な検査や治療が増えるからです。30代などの若年の女性の場合、乳房組織密度が高いので「吹雪の中のシロクマ」のように乳がんの発見が難しいとされています。

マンモグラフィーによる検診には、がんを発見するメリットがある一方、陽性となった場合の過剰診断や過剰治療、放射線被ばくによるリスクもあります。これらの理由からWHOは、「マンモグラフィーによる検診で患者にメリットがあるのは50~59歳のみ」という見解を示しています。以前TBSが推進していた「20‐30代女性に限定した乳がん検診」は疑いなくメリットよりもリスクが多い誤ったキャンペーンです(記事をみる)。

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コメント

  1. あ* より:

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    「例えば、マンモグラフィーによる検査には、がんを発見するメリットがある一方、陽性となった場合の過剰診断や過剰治療、放射線被ばくによるリスクもあります。これらの理由からWHOは、「検診で患者にメリットがあるのは50~59歳のみ」という見解」
    なのですか?
    (1)「50~59歳」の女性なら本人が「しこり」に気づく
    (2)医療機関に行くと、いきなり摘出して生検に出して癌かどうか調べるよりは、マンモグラフィーで癌っぽいか、癌ぽくないので経過観察かを判断したほうがいい
    (3)マンモグラフィーで癌っぽいなら病巣を摘出して生検に出して、あと、どうするか決める…
    というのが現状では最も合理的ではないかと思われます。
    今では、何かポツポツと腫瘍があるのが健診でわかったので、とりあえず侵襲性の低い内視鏡手術で取ってしまって、取ったものを生検に出してみるというアプローチもありますね。

  2. tak より:

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    >あ*さん
    問題なのは、30代の女性全員に対してマンモグラフィーで乳がんをスクリーニングするというような「検診」です。記事にも書きましたが、乳房組織密度の高い若年の場合は、「吹雪の中のシロクマ」のように発見が難しく、ご指摘の過剰診断・過剰治療になるリスクが高いからだと考えます。

  3. あ* より:

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    >takさん
    やはり、問題はマンモグラフィーの使い方が間違っているということですね。そこらの町医者は常識ありますね。

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