一般的な抗うつ剤、子どもや十代の若者らに効果なし
以下は、記事の抜粋です。
抗うつ剤は、深刻なうつ病を患う子どもや10代の若者に対して効果がなく、一部は安全でない恐れもあるとする研究論文が6月9日、発表された。
偽薬と比較した際、より高い抗うつ作用がみられたのはフルオキセチンのみだったという。
さらに、これらの薬剤が若者に及ぼす影響について適切に計画された臨床試験が十分に行われていないと警告。若者が抗うつ剤を服用する場合、特に治療を開始したばかりの時期には、薬の種類を問わず若者から目を離さないよう勧告した。
抗うつ剤を服用している子どもや10代の若者の割合は、2005年から2012年の間に、米国では1.3%から1.6%に、英国では0.7%から1.1%に上昇したという。
元論文のタイトルは、”Comparative efficacy and tolerability of antidepressants for major depressive disorder in children and adolescents: a network meta-analysis”です( 論文をみる )。
論文で調べられた抗うつ薬は、amitriptyline(トリプタノール®、三環系)、citalopram(シタロプラム、SSRI)、clomipramine(クロミプラミン、三環系)、desipramine(デシプラミン、三環系)、 duloxetine(サインバルタ®、SNRI)、escitalopram(レクサプロ®、SSRI)、fluoxetine(フロキセチン、SSRI)、imipramine(イミプラミン、三環系)、mirtazapine(リフレックス®、NaSSA)、nefazodone(ネファゾドン、SNRI)、nortriptyline(ノルトリプチリン、三環系)、paroxetine(パキシル®、SSRI)、sertraline(ゾロフト®、SSRI)、venlafaxine(イフェクサー®、SNRI)です。
記事の「一般的な抗うつ薬」というのは三環系のことなのでしょうか?この論文で調べられた三環系抗うつ薬は、すべて効果が認められなかったようです。
論文によると、SNRIのベンラファキシン(イフェクサー®、SNRI)だけでなく、イミプラミン(三環系)とデュロキセチン(サインバルタ®、SNRI)も有害事象のために投薬を中断することが多かったようなので、ノルアドレナリンの再取り込作用は有害事象に関わるのかもしれません。
フロキセチンは日本で承認されていません。この論文が正しいとすると、日本では子供や思春期の若者に使える抗うつ薬はないということになります。
コメント