進行扁平上皮非小細胞肺癌に対するニボルマブとドセタキセルとの比較
以下は、論文日本語要約の抜粋です。
背景: 国際共同無作為化非盲検第 3 相試験において,進行扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者集団における完全ヒト IgG4 PD-1免疫チェックポイント阻害抗体であるニボルマブの有効性と安全性を,ドセタキセルと比較評価した.
方法: 患者 272 例を,ニボルマブ 3 mg/kg 体重を 2 週ごとに投与する群と,ドセタキセル 75 mg/m2 体表面積を 3 週ごとに投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存とした.
結果: 全生存期間中央値は,ニボルマブ群9.2ヵ月に対し,ドセタキセル群6.0ヵ月であった.死亡リスクは,ニボルマブ群のほうがドセタキセル群よりも41%低かった.1年の時点での全生存率は,ニボルマブ群42%に対し,ドセタキセル群24%であった.奏効率は,ニボルマブ群20%に対し,ドセタキセル群9%であった.無増悪生存期間中央値は,ニボルマブ群3.5ヵ月に対し,ドセタキセル群2.8 ヵ月であった.PD-1 リガンド(PD-L1)の発現は,予後因子でも効果予測因子でもなかった.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象は,ニボルマブ群では 7%で報告されたのに対し,ドセタキセル群では 55%で報告された.
結論: 治療歴のある進行扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者にニボルマブを投与した場合,全生存,奏効率,無増悪生存は,PD-L1発現量にかかわらず,ドセタキセルを投与した場合と比較して有意に良好であった.
今年の1月に関連記事で書いた臨床試験の結果が論文として報告されました。
臨床試験が臨床試験を早期に終了したことは、オプジーボ®投与群が対照群に対してはっきりと優れた結果を示したことを意味しているので、ほとんどの結果には驚きませんでしたが、太字で示した「PD-1 リガンド(PD-L1)の発現は,予後因子でも効果予測因子でもなかった.」には驚きました。メカニズムはどうなっているのでしょう?
日本人の死因トップはがん、中でもトップは肺がんです。扁平上皮がんは、男性の肺がんの40%、女性の肺がんの15%を占めています。PD-L1 発現量にかかわらず、進行扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者にこの薬が使われたら、大変なことになると思います。
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オプジーボ®(一般名:ニボルマブ、抗PD-1抗体)が肺扁平上皮がんにも効果があるかもしれない
コメント
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こんにちは。
詳細情報ありがとうございます。
日本人に最も多い肺の非扁平上皮がん(せんがん)について、アメリカではフェーズ3を途中で中止。
あまりに効果があるため。
よって、日本のフェーズ2までの結果と
アメリカの3の結果をブリッジング承認申請
予定です。
がんセンター情報では、ほぼ間違いなく、
年内~2016年承認&使用確定のようです。
肺の扁平ではなく、
非扁平上皮がん適応について、
最新情報ありますでしょうか?
沼袋健太
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>がん先進医療情報実践、免疫細胞治療成功日記クン:沼袋健太よりさん
コメントありがとうござます。特に情報はありませんが、今後の展開に注目していきたいと思います。