新型コロナウイルスの抗原検査はウイルス量が少ないと偽陰性になる

抗原検査で集団感染拡大なしと判断、PCR検査で10人超の感染判明
以下は、記事の抜粋です。


名古屋市立緑市民病院で14日、これまでに22人が新型コロナウイルスに集団感染していることが明らかになった。発表によると、市病院局は当初、感染が疑われる282人に行った抗原検査で「これ以上の感染はない」と判断していたが、市の保健センターの指導でより精度の高いPCR検査を実施したところ、10人超の感染が判明したという。


抗原検査は、PCRと比べて反応時間が短く、特別の機器を必要とせず、検体を採取したその場で結果がわかるので、かなり期待していました。しかし、このニュースをみると偽陰性が多くスクリーニングとしてはあまり使えないと思います。

実際、今年の5月13日に厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策本部が出した「SARS-CoV-2 抗原検出用キットの活用に関するガイドライン」では以下のように書かれています(ガイドラインをみる)。


国内臨床検体を用いた RT-PCR 法との試験成績(n=72)は、陰性一致率 98%
(44/45 例)、陽性一致率 37%(10/27 例)であった。陽性検体についての陽性一致率を、
RT-PCR 法テスト試料中の換算 RNA コピー数(推定値)に応じて比較すると、100 コ
ピー/テスト以上の検体に対して一致率 83%(5/6 例)、30 コピー/テスト以上の検体に
対して一致率 50%(6/12 例)であった。


上の成績は、要するにウイルス量が多い場合は抗原検査でも陽性になるが、少ない場合は偽陰性になってしまうということです。実際、今回の名古屋市立緑市民病院では、その通りの結果でした。また、サンプルとして鼻咽頭ぬぐい液を用いるために、採取時の感染リスクが高いという問題もあるので、感度が現状のままならあまり使われなくなると思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました