トランプ政権の相互関税、貿易赤字ベースに算出-非関税障壁加味せず
以下は、相互関税のバカバカしい計算法についての記事と小幡 績氏のコメントの抜粋です。
トランプ米大統領が4月2日発表した貿易相手国・地域に課す相互関税の税率は、主に既存の貿易収支に基づいて算出されていた。他国の関税率や貿易障壁を加味するとの当初の方針とは異なっている。
公表された相互関税の算出方法に関する説明の中で、米通商代表部(USTR)は2024年の米国勢調査局のデータに基づき、当該国の対米貿易黒字をその国の総輸出額で割る計算式を提示。そして、その数字を2で割って相互関税の税率を出した。
例えば、中国の昨年の対米貿易黒字は2950億ドル(約43兆3400億円)で、輸出額は4380億ドルだった。トランプ政権の計算式に従い、中国の対米貿易黒字を輸出額で割ると68%程度。これを2で割ると、関税率は34%になる。この計算でいくと、日本や韓国など他国の関税率もほぼ同じ結果となった。ただし、米国が貿易黒字を計上している国にも一律10%の税率が適用される。
同関税の算出方法は、トランプ大統領の発表時までほとんど知られていなかった。トランプ政権は相互関税の税率について、関税と非関税障壁の両方を考慮した計算になるとしていた。そして、トランプ氏のボードには、「為替操作と貿易障壁を含む米国に課される関税」と題されたカテゴリーの下に税率が表示されていた。
慶応大の小幡 績氏は、他の記事で「アメリカでは輸入していたものをすぐにはほとんど作れないし、実は長期的にも、いくら作ろうとしても、もはや作れない。ノウハウも人材もなくなり、産業基盤はそう簡単に再構築できないからだ。これはすでに1970年代から少しずつ失われてきたのであり、バブル的な要素があるハイテクやサービスでぼろもうけするしかないアメリカの巨大企業には、まじめに製品を作る、あるいは誠実で妥当な価格のサービスを行うということはできなくなってしまっている」と書かれています(記事をみる)。私もそう思います。
同氏の以下のコメントも8割ぐらいそう思います。とにかく相手はボケた大統領とイエスマンばかりの閣僚が率いる「ならず者国家」ですので。
野党が「石破政権の対米対応は生ぬるい、もっとタフに交渉しろ」とか、逆に「もっとアメリカにちゃんとうまく取り入れ」、などといった間抜けな苦情を言っている。
もはやそういう次元ではないのだ。トランプ大統領は演説の中で、「シンゾウはいい奴だった、素晴らしい、でも暗殺された」など、故・安倍晋三元首相に長時間言及し、それも絶賛し、「日本は友人だ、素晴らしい、でも関税は掛ける、コメは700%だ」などと言って、さらりと明るく「日本へは24%」と述べた。そういうことなのだ。仲よくしようが、取り入ろうが、関係ないのだ。
ある意味、アメリカを見捨てて(100%捨てるわけではないが)、もはやアメリカは昔のよきアメリカではなく、対中も対米も、友人とか同盟とかいうことではなく、利害対立を腹に抱えた取引相手として対峙していかなければならないのだ。
しかし、世界全体ではもはや策はない。本来ならば、アメリカに対して、ロシアへの経済制裁並みに、世界経済から排除するように世界で結束することが倫理的には正しい。
だが、それは実現できないだろうから、ただただ、アメリカの「経済自爆テロ」を見ているしかない。
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