サモア人がポリネシア諸島に定住できたのは「肥満遺伝子」のおかげ
以下は、記事の抜粋です。
5,000人以上のサモア人のゲノム解析からCREBRF遺伝子という遺伝子の変異が肥満リスクを高めることが判明。この遺伝子変異は4分の1のサモア人に含まれており、ボディマス指数(BMI)を1.5上昇させます。つまり、平均身長で81kgの体重だとしたら、この遺伝子のせいでさらに4.5kg太ってしまうのです。
サモア人の肥満率は世界の中でも最も高いんです。遺伝子変異を持たない人と比較すると、変異を持つ人は30~40%も肥満リスクが高くなります。ちなみに、この遺伝子はヨーロッパ人やアフリカ人には存在せず、東アジア人には非常に少数ながら存在しています。
2010年にはサモア人男性の80%とサモア人女性の91%が肥満でしたが、この遺伝子以外の原因としては、現代の食生活の変化と運動不足減少である可能性が高いとされています。
しかしながら、エネルギー消費を減らして、細胞に脂肪を貯蔵するこの肥満遺伝子は、過去にサモア人が南太平洋諸島を征服したという歴史にも大きく寄与したと考えられます。約3,500年前、サモア人の祖先はポリネシア諸島の24つの主要な島を制服する過程の中で、島から島への厳しい航海、食糧不足で過酷な日々を効率よくエネルギーを貯蔵することによって生き抜いてきた可能性がありますよね。
元論文のタイトルは、”A thrifty variant in CREBRF strongly influences body mass index in Samoans”です(論文をみる)。
CREBRF遺伝子がコードするタンパク質は、糖質コルチコイド(ステロイドホルモン)の受容体活性を制御することなどが報告されています。今回報告されたArg457Gln(457番目のアルギニンがグルタミン酸に代る)変異CREBRFタンパク質の過剰発現は、脂肪細胞での脂肪の蓄積を促進させるそうです。
人類の歴史は600万年から700万年前にチンパンジーの祖先などから分かれたとされていますが、それからずーッとヒトは飢餓の中で生きてきました。そのため、サモア人だけではなく、ほとんどのヒトが飢餓に耐えるように進化してきました。現代は、過剰栄養環境に耐えるようなヒトのダーウィン選択がおこっているのかもしれません。
コメント
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「過剰栄養環境に耐える」とは、
「腹6分目に医者要らず」というだけのことなので、遺伝子は殆ど無関係でしょう。