ファイザーが後発品事業に本格参入、メロペネム点滴静注用0.25g「ファイザー」、同0.6gを発売

【ファイザー】初の後発品発売‐抗菌薬メロペネムで参入
以下は、記事の抜粋です。


ファイザーは7月1日、エスタブリッシュ医薬品事業部門設立後、初めての後発医薬品として、カルバペネム系抗菌薬「メロペネム点滴静注用0.25g『ファイザー』、同0.6g」を新発売し、後発品事業に参入する。

27日に都内で記者会見したエスタブリッシュ医薬品事業部門長の松森浩士氏は、7月に一定規模の開業医担当MRを同部門に移管し、約1000人体制で長期収載品と後発品のエスタブリッシュ医薬品事業を展開していく方針を明らかにした。年内には後発品20成分以上の発売を目指し、後発品事業を本格始動させる予定だ。同社は、2009年12月にエスタブリッシュ医薬品事業をスタート。7月に初めての後発品を投入することになった。

新発売する後発抗菌薬「メロペネム」は、医療現場での有用性を高めるため、100種類以上の品目を選んだ配合変化試験を実施。また、誤投与を防止するため、安全に考慮した工夫を行っている。
松森氏は「われわれに後発品ビジネスを行うという観点はない。新薬として長く使われている標準薬の価値を見つめて、価値ある製品を提供し続けていきたい」と述べた。年内には、脳保護剤「エダラボン」など、20成分以上の後発品を発売する予定。


ファイザーは世界最大の製薬企業です。日本最大のタケダの総売上はファイザーの1/3以下です。現在、日本で市販中のファイザー製品をあげると、

ノルバスク®(アムロジピン) – 長時間作用型カルシウム拮抗薬
リピトール®(アトルバスタチン) – HMG-CoA還元酵素阻害薬
カデュエット® (アムロジピンとアトルバスタチンの合剤)
ジスロマック®(アジスロマイシン) – マクロライド系抗菌薬
ハルシオン®(トリアゾラム) – 睡眠導入剤
デトルシトール®(トルテロジン) – 過活動膀胱治療剤
ジェイゾロフト®(セルトラリン) – 世界110カ国で発売されているSSRI
セレコックス®(セレコキシブ) – COX-2選択性阻害薬
ポンタール®(メフェナム酸) – 鎮痛・消炎・解熱薬
バイアグラ®(シルデナフィル) – ED治療薬
ガバペン®(ガバペンチン) – 抗てんかん薬
チャンピックス®(バレニクリン) – 経口禁煙補助薬。ニコチン受容体部分作動薬
キサラタン®(ラタノプロスト) – 緑内障・高眼圧症治療剤。PGF2α誘導体
エンブレル® (エタネルセプト) – RA治療薬、TNFを標的とした分子標的治療薬
リウマトレックス® (メソトレキセート) – 関節リウマチ治療薬、DMARDs
ミノマイシン® (ミノサイクリン) – テトラサイクリン系抗生物質
トーリセル® (テムシロリムス) - 腎細胞癌治療薬、mTOR阻害薬

などなど、解熱鎮痛薬から分子標的薬まで、有名な薬がズラリと並んでいます。このような先発薬トップメーカーであるファイザーが日本の後発薬(ジェネリック)市場に本格的に参入することは、少なくとも下の2つのことを意味していると思います。

1. 以前にも書きましたが、先進諸国ではヒトの平均寿命が生物学的限界に近づき、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と研究開発して儲ける」という製薬大手のビジネスモデルが過去のものになった。

2. 「エスタブリッシュ医薬品」という命名は、多くの医師がもつ後発薬に対する不安を意識していると思います。本当に先発薬と同じ品質なのか?という不安です。今回のファイザーのやり方は、既存後発薬メーカーの買収でお茶を濁すのではなく、自らが本格参入し、先発薬トップメーカーの名前を表に出すことで、日本人医師の「ゾロ不信感」を払拭し、ジェネリック市場を席捲しようとする意図を感じさせます。

このようなジェネリックとワクチンも含めた多角化というのが、世界の大製薬メーカーの方向性だと思われます。日本の先発薬メーカーはどうするのでしょうか?また、後発品メーカーやワクチンメーカーはどうなるのでしょうか?

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