致命的な胃腸管出血のリスクはアスピリン投与で増えない

アスピリンには胃に対するリスクを上回る恩恵があるかもしない

以下は、記事の抜粋です。


世界中で、心臓病やがんは死亡および障害の主要な原因であり、アスピリンを毎日少量服用することで、これらの疾患の発症を約20-30%低減できるという研究結果が示されている。

最近の研究では、化学療法および/または放射線療法と併用して、がん患者に低用量のアスピリンを与えることは、追加治療として有効であり、腸がん、そしておそらく他のがんについても、患者の死亡をさらに15%減少させることも示されている。

ところが、その一方で、アスピリンで胃腸管(GI)出血が起こることが懸念されている。 この研究では、アスピリンに関する文献について、系統的レビューおよびメタ分析を行い、アスピリンの常用は胃腸管出血のリスクを増大させるが、このような出血が致命的であるという有効なエビデンスは存在しないことが見出された。


元論文のタイトルは、”Systematic Review and Meta-Analysis of Randomised Trials to Ascertain Fatal Gastrointestinal Bleeding Events Attributable to Preventive Low-Dose Aspirin: No Evidence of Increased Risk”です(論文をみる)。

アスピリンには、血小板の凝集を抑制して血液をサラサラにする働きがあるので、心筋梗塞や脳梗塞の予防に用いられます。また、消化管ではプロスタグランジン産生を抑制して大腸がんなどの発生も抑えることが報告されています。良い薬なので、致命的な胃腸管出血のリスクが増えないのはありがたいと思います。しかし、脳出血のリスクは増えるので、血圧が高くならないように気を付けるべきだと論文では書いています。

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