メルク社のベルベセスタット、ADによる軽度認知障害(MCI)でも治験失敗

ベルベセスタット、Prodromal AD対象P3を中止:Merck、リスクを上回るベネフィットが得られる可能性は低いと判断
以下は、記事の抜粋です。


米Merck社は2月13日、アミロイド前駆体タンパク質βサイト切断酵素1の低分子阻害剤「ベルベセスタット」(MK-8931)を、アルツハイマー病による健忘型軽度認知障害(Prodromal AD)患者を対象に評価する第3相試験(APECS試験)を中止することを発表した。

APECS試験は、prodromal AD患者に対するベルベセスタットの効果および安全性を評価する無作為化プラセボ対照並行群間二重盲検第3相臨床試験。被験者は1日1回、プラセボ、ベルベセスタット12mgまたは40mg投与群に無作為に割り付けられた。同試験の主要評価項目は、治療開始後104週時点におけるClinical Dementia Rating Scale-Sum of Boxes(CDR-SB)スコアのベースラインからの変化量。

今回の中止の判断は、外部データモニタリング委員会が、最近の安全性中間解析に基づき全般的なベネフィットおよびリスクを評価した結果をもとに行った勧告によるという。委員会は、試験を継続した場合リスクを上回るベネフィットが得られる可能性は低いと結論づけた。


昨年3月8日の本ブログ記事でMerck社が、軽度・中等度のアルツハイマー型認知症(AD)患者を対象としたBACE阻害剤「ベルベセスタット」の第II/III相試験「EPOCH」を中止すると発表したことを紹介しました。その時には、「一方、ADによる軽度認知障害(MCI)を対象とした第III相試験「APECS」については継続するよう指示し、これを受け、メルクではAD発症初期をターゲットとした開発にシフトする方針だ。」と発表されていましたが、今回の発表でそのADによる軽度認知障害(MCI)を対象とした第III相試験「APECS」も中止したことが明らかになりました。結局、ベルベセスタットはボツになると思います。

ベルベセスタットは、記事にも書かれていますが、BACE1(Beta-secretase 1)という酵素の阻害薬で、ヒトにおいても副作用を起こすことなく、健常者とアルツハイマー病患者の脳脊髄液中のβ40、Aβ42、sAPP量を減少させたそうです(記事をみる)。それでも、認知機能の低下は阻止できなかったということになります。認知症の治療は難しいですね。

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