レムデシビルとヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬のバリシチニブの併用は、中等症から重症のCOVID-19患者に有効

厚労省 JAK阻害薬オルミエントの「新型コロナによる肺炎」の効能追加を正式承認
以下は、記事の抜粋です。


厚労省は4月23日、日本イーライリリーの経口JAK阻害薬オルミエント錠2mg、同錠4mg(一般名:バリシチニブ)に、「SARS-CoV-2による肺炎(ただし、酸素吸入を要する患者に限る)」の効能・効果を追加することを承認した。

対象患者は、新型コロナによる肺炎で酸素吸入、人工呼吸管理、体外式膜型人工肺(ECMO)導入を要する中等症から重症の患者となる。入院下において、抗ウイルス薬レムデシビル(一般名)と併用して、バリシチニブとして4mgを1日1回経口投与で用いる。ただ、経口投与ができない患者には同剤を粉砕・懸濁して胃瘻や経鼻移管などで使用する。

オルミエントの新型コロナによる肺炎に対する有効性と安全性は、新型コロナの入院患者に対するバリシチニブ使用を評価した、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)主導の国際共同第3相試験(ACTT-2)で確認された。

同試験は8か国67施設で1033人の患者が登録され、バリシチニブとレムデシビル併用療法群とレムデシビル単独療法群について、主要評価項目を「治療期間における回復までの期間」として評価した。その結果、全患者(1033人)では回復までの期間がバリシチニブ群は7日、対照群は8日で統計学的に有意に1日短縮した。酸素吸入や人工呼吸器を必要とするいわゆる重症患者216人にしぼって評価したところ、回復までの期間はバリシチニブ群は10日、対照群は18日で、バリシチニブ群で有意な期間の短縮を示した。


ACTT-2の結果が発表された元論文のタイトルは、”Baricitinib plus Remdesivir for Hospitalized Adults with Covid-19″です(論文をみる)。論文には、上の記事で書かれていた結果に加えて、併用療法群では、15日目の臨床状態の改善のオッズ比ががレムデシビル単独群よりも30%高いと書かれています。

COVID-19による重症呼吸不全は、サイトカインストームを特徴とする過剰な炎症状態に起因すると考えられており、バリシチニブのJAK1/JAK2阻害を介した抗炎症作用による治療効果が期待されていました。宿主細胞内でのウイルスの増殖に重要な役割を果たすNumb関連キナーゼ(NAK)を阻害するという報告もあるそうですので(記事をみる)、こちらの効果によるものかもしれませんが、COVID-19治療における明るいニュースの1つだと思います。

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