N501Y変異株と従来株や別の変異株との置き換わりが「急激に進んでいる」理由

変異株拡大、速さ想定外 来月前半に9割超えか―宣言対象地域
以下は、記事の抜粋です。


政府が3度目の緊急事態宣言を発令する東京や大阪では、新型コロナウイルスの変異株が急速に広がっている。主流は感染力を強める「N501Y」変異を持つタイプで、新規感染者に占める割合は5月前半には9割を超えると予測される。専門家は「拡大速度は予想を超えている」と危機感を募らす。
自治体は一部のコロナ陽性者に対し、N501Y変異の有無を調べるPCR検査を実施している。厚生労働省によると、4月20日時点の変異株陽性者は46都道府県の5916人。1週間で1.7倍近くに増えた。主なN501変異株には英国型、南アフリカ型、ブラジル型があり、ゲノム解析の結果では英国型が約95%を占める。
N501Y変異株感染者の割合は現在、東京が約3割、大阪・兵庫が約8割と推定される。東京は低いよう見えるが、従来株や別の変異株との置き換わりが「急激に進んでいる」(感染研幹部)。そのため、5月前半には3都府県ともN501N変異株の占める割合が9割超になるとみられる。埼玉や沖縄でも同様の傾向が予測されるという。


5月20日夜の専門家組織の会合に出席した感染症の専門家は、「変異株の広がりは予想以上に速かった」とか「大阪などに『まん延防止等重点措置』が適用されたが、『緊急事態』ではないと理解された。危機感が伝わらず、効果はなかった」と指摘したそうですが、これは感染が広がった理由は説明できても、N501Y変異株が従来の株や他の変異株に急激に置き換わった理由は説明できません。

仮説ですが、『まん延防止等重点措置』やその他の措置は、従来型の株の感染を減らすことはできたが、N501変異株の感染は減らせなかったということだと思います。N501Y変異を持つVOC-202012/01は、従来株に比較して実効再生産数が43-90%高いという報告があるので(報告をみる)、重点措置で従来株の実行再生産数が0.8になったとしても、N501Y変異株では0.8×1.43~1.9=1.14~1.52なので、従来株がどんどん減って変異株が増えるということになります。つまり、N501Y変異株は従来の株よりもはるかに感染力が強いので急激に置き換わっているのだと思います。

“So, what?”ですが、より厳しい措置か、ワクチンの早い普及しかこの危機は救えないと思います。

 

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