HPV16型/18型との関連がある子宮頸部前がん性病変が生じるリスクは、HPVワクチンによって10,000人当たり約164人から2人の割合にまで低下し、有害事象は増大しない

解説記事によると、過去8年間に世界各国で行われたHPVワクチンの有効性、安全性に関する臨床試験26件、合計で7万3000人以上の女性を対象とした研究について詳細に分析したコクランレビューの結果が、5月9日に発表されました(レビューの日本語サイトをみる)。

コクランレビューは、1992年に英国の国民保健サービスの一環として発足した非営利団体のコクランが行うシステマティック・レビューで、過去に行われたランダム化比較試験を収集して系統的に調べ、評価、分析したものです。エビデンスレベルが最も高いと言われています。

発表された結果によれば、高リスク型HPVに感染していない段階でワクチン接種を受けた15歳から25歳の女性では、HPVワクチンの接種により、HPV16型/18型と関連する子宮頸部前がん性病変が発生するリスクが、1万人あたりで約164人から、2人の割合まで低下しており、HPVワクチンが予防に有効であることが改めて確認されました。

また15歳から26歳でワクチン接種を受けた女性は、接種時のHPV感染状況にかかわらず、HPV16型/18型に関連する子宮頚部前がん病変の発症リスクが、1万人あたり341人から、157人の割合に下がっていました。これは、同じ集団でもHPV既感染女性では、予防効果が低下するためと考えられます。だから、できるだけ感染前の早期での接種が望ましいわけです。

一方、安全性についても、HPVワクチンを接種したグループと、プラセボまたはHPV以外の感染症に対するワクチンを接種した対照群との間で、重篤な有害事象の発現リスクは同等であることが示されました。「HPVワクチンによって、重篤な有害事象や流産や妊娠終結が生じるリスクは増大しない」と結論づけています。

米国国立がん研究所(NCI)も、HPVについてわかりやすい動画を公開しています。JAMT(日本癌医療翻訳アソシエイツ)が日本語字幕を付けています。

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