新型コロナのパンデミックは終わった? 専門家の見解は…バイデン米大統領は「終わった」と発言、テドロスWHO事務局長も終息に言及
以下は、記事の抜粋です。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は2022年9月14日の記者会見で、パンデミックの終わりが視野に入ってきたと述べた。数日後、バイデン米大統領はテレビ番組のインタビューで「パンデミックは終わりました」と宣言した。一方でバイデン氏は「私たちはまだ新型コロナに関する問題を抱えており、多くの取り組みを続けています」とも認めている。
パンデミックとは、病気のアウトブレイク(集団感染)が複数の国にまで広がり、多くの人々に影響を及ぼす場合のことだ。
ジョンズ・ホプキンス大学の集計によれば、新型コロナは世界的にはこの1週間の平均で1日あたりまだ1000人を超える死者を出しており、患者数も低い水準にとどまってはいない。そのため、WHOのスワミナサン氏は「パンデミックが終わったというには少し時期尚早です」と結論付けている。
米国では2022年9月現在、新型コロナによって毎日300~400人が死亡している。「死者数はまだ多すぎます」と、ブラウン大学のジェニファー・ヌッツォ氏は言う。また、非常に感染力の強いオミクロン株のBA.5系統が米国や世界の多くの地域で流行し続けており、涼しくなって屋内に集まる人が増えれば患者数が増える可能性があるため、もしパンデミックの終息を宣言すると、現在も続けられている検査とワクチン接種の取り組みを損なう恐れがある。
パンデミックの終息をどう判断するのか
パンデミックが終わったかどうかを判断する基準が確立されていないことが問題を複雑にしている。1日あたりの死者数は、パンデミックが終息しつつあるかどうかを判断する1つの指標だが、その他にも、患者数や、ワクチン接種率、有効な治療法の有無、新たな変異株の感染力などが挙げられる。しかし、実際にパンデミックの終息を判断することは困難だとスワミナサン氏は言う。「これは新たなウイルスであり、私たちは過去にコロナウイルスによるパンデミックを経験したことがないのです」
判断を難しくするもう1つの要因は、データが不足している国が多いことだと、スワミナサン氏は指摘する。パンデミックがいつ深刻な状態からエンデミック(一定地域で継続的に流行が持続する状態)に移行したのかは、事後的にしか把握できないかもしれない。
スクリプス・トランスレーショナル研究所のエリック・トポル氏は、終息の判断はパンデミックの推移に基づく必要があるとしている。「2021年の夏、米国では(1日あたりの)新規感染者数が1万2000人に減り、死者数も200人あまりに減りました」。もしその状態が続いていれば、パンデミックの段階は終わったと宣言してもよいと考えただろうと氏は話す。「ですが、今はまだその状況にありません」。また、新たな変異株が再び感染者数や入院者数を増やし、パンデミックが長引くことを恐れているという。
デンマーク、ロスキレ大学のローネ・シモンセン氏は、死亡者数の減少に加え、流行が季節性になることも、パンデミックが終息した時期を判断するのに役立つと言う。新型コロナウイルスが広まる機会が少ない夏に患者数が急増した場合は「まだパンデミックの段階です」と氏は説明する。2021年の夏にデルタ株が、2022年の夏にオミクロン株が患者を増やしたのがその実例だ。そのため、シモンセン氏は、まだ様子見の段階だと判断している。
しかし、デンマークをはじめ、ワクチン接種率の高いヨーロッパ諸国では、新型コロナの重症化や医療の逼迫が少なくなったため、22年に入ってからパンデミックによる義務と制限の大半を撤廃した。
世界的なパンデミックの段階はほぼ終わったと主張するのは、ジョンズ・ホプキンス大学のアメッシュ・アダルジャ氏だ。すでに数億人が新型コロナに感染したこと、重症化を防げるワクチンと治療法の存在、以前のように医療システムが完全に崩壊することはなさそうなことが理由だという。それでも、「突然(コロナ禍前の)2019年のような状態に戻るわけではありません。新型コロナが消えて、何も起きなくなるわけではないのです」と氏は言う。「一定数の新規感染、入院、死亡があり続けるということです」
私は、アダルジャ氏の意見に近いです。医学的には重症化を防ぐワクチンがあって、効果のある治療薬があるので、耐性菌さえ出てこなければこれでパンデミックは終わるはずです。問題は、これらのワクチンや治療薬がうまく使われる社会になっていない国や地域が多く存在することです。日本は、うまく使われている訳ではないのに、パンデミックが終わりそうな不思議な国です。
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