4種類の血糖降下薬、メトホルミン併用時のHbA1c値への効果

4種類の血糖降下薬、メトホルミン併用時のHbA1c値への効果に差は?
以下は、記事の抜粋です。


2型糖尿病患者では、HbA1cの目標値を維持するために、メトホルミンに加えいくつかの種類の血糖降下薬が投与されるが、その相対的有効性は明らかにされていない。マサチューセッツ総合病院のDavid M. Nathan氏らは、「GRADE研究」において、4種類の血糖降下薬の効果を比較し、これらの薬剤はいずれもメトホルミンとの併用でHbA1c値を低下させたが、その目標値の達成と維持においては、グラルギンとリラグルチドが他の2剤よりもわずかながら有意に有効性が高いことを確認した。

対象は、2型糖尿病の診断時の年齢が30歳以上、糖尿病の罹病期間が10年以内で、500mg/日以上のメトホルミンによる治療を受けており、過去6ヵ月間に他の血糖降下薬を使用しておらず、HbA1c値が6.8~8.5%の患者であった。

被験者は、インスリン グラルギンU-100(以下、グラルギン)、スルホニル尿素薬グリメピリドGLP-1受容体作動薬リラグルチドDPP-4阻害薬シタグリプチンを投与する群に無作為に割り付けられた。全例がメトホルミンの投与を継続した。代謝に関する主要アウトカムは、HbA1c値≧7.0%とされ、年4回の測定が行われた。代謝に関する副次アウトカムは、HbA1c値>7.5%であった。

5,047例が登録され、グラルギン群に1,263例、グリメピリド群に1,254例、リラグルチド群に1,262例、シタグリプチン群に1,268例が割り付けられた。ベースラインの全体の平均(±SD)年齢は57.2±10.0歳、41.5%が60歳以上で、10ヵ所の退役軍人省医療センターの参加を反映して63.6%が男性であり、白人が65.7%、黒人が19.8%、ヒスパニック/ラテン系が18.6%含まれた。平均追跡期間は5.0年であり、85.8%が4年以上の追跡を受けた。

HbA1c値≧7.0%の累積発生割合には、4つの治療群で有意な差が認められた。すなわち、100人年当たりグラルギン群が26.5、リラグルチド群は26.1とほぼ同様であり、これらはグリメピリド群の30.4、シタグリプチン群の38.1に比べて低かった。これは、HbA1c値<7.0%の期間が、シタグリプチンに比べグラルギンとリラグルチドで約半年間長くなることを意味する。

また、HbA1c値>7.5%の発生割合に関しては、群間差に主要アウトカムと同様の傾向がみられ、100人年当たりグラルギン群が10.7、リラグルチド群は13.0であり、グリメピリド群の14.8、シタグリプチン群の17.5よりも低かった。

ベースラインのHbA1c値が高かった(7.8~8.5%)患者では、HbA1c値<7.0%の維持または達成において、シタグリプチン群は他の3剤と比較して効果が低かった。

重症低血糖はまれだったが、グリメピリド群(2.2%)は、グラルギン群(1.3%、p=0.02)、リラグルチド群(1.0%、p≦0.001)、シタグリプチン群(0.7%、p≦0.001)に比べ有意に高頻度であった。消化器系の副作用の頻度は、リラグルチド群(43.7%)が他の治療群(グラルギン群35.7%、グリメピリド群33.7%、シタグリプチン群34.3%)に比べて高かった。また、4年間の平均体重減少はリラグルチド群(3.5kg減)とシタグリプチン群(2.0kg減)が、グラルギン群(0.61kg減)とグリメピリド群(0.73kg減)よりも大きかった。


元論文のタイトルは、”Glycemia Reduction in Type 2 Diabetes — Glycemic Outcomes(2型糖尿病における血糖値低下作用-血糖値アウトカム)”です(論文をみる)。

スルホニル尿素剤の方がインスリンよりも重症低血糖をおこし易いことに驚きました。使いたくないです。また、GLP-1受容体作動薬リラグルチドのほうが、DPP-4阻害薬シタグリプチンよりも効果が高いのが意外でした。SLGT-2阻害薬が登場しなかったのは、欧米では、日本ほど新薬に飛びつかないためか、痩せた高齢者に使わないなどの注意が行き届いているかのどちらかだと思います。

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