テレビゲームは加齢に伴う認知能力の低下を防ぐ、クロスワードパズルは無効

テレビゲームで脳の衰え回復に成功、米実験
以下は、記事の抜粋です。


テレビゲームをすることで、記憶力や論理的思考、視覚処理といった脳の機能の衰退を防いだり、回復させたりすることが可能だとの研究結果をまとめた論文が5月1日、プロスワン(PLOS ONE)誌で発表された。50歳以上の数百人を対象にした実験の結果、テレビゲームにより認知機能が改善し、加齢に伴い衰える各種能力が最大で7歳近く若返ることが分かったという。

アイオワ大学のFredric Wolinsky教授の研究チームは、人が加齢に伴い脳の「実行機能」を失う原因を突き止めるべく実験を行った。実行機能は、記憶や注意、認知、問題解決の能力に必要とされる。

チームは、アイオワ州在住の被験者681人を集め、4つのグループに分けた。さらに各グループを、50~64歳と65歳以上の2グループに分類。4グループのうちの1つには電子版のクロスワードパズルを、その他の3グループには「ロード・ツアー(Road Tour)」というテレビゲームをしてもらった。

このゲームは、わずかな間だけ表示される車や道路標識の種類を覚え、次の画面で表示される選択肢の中からこの2つを当てるもの。新たなレベルに進むためには、4回中3回で正解しなければならない。レベルが進むにつれ速度は増し、注意をそらすものが多く登場するようになる。

その結果、ゲーム開始時点での処理速度が速い人も遅い人も、訓練により約70%速く作業を行えるようになった。また、自宅または大学の研究室で少なくとも10時間ゲームをしたグループの認知能力は、1年後の再測定で少なくとも3歳若返り、14時間ゲームをしたグループでは4歳若返っていた。

若返りのカギは、脳の処理速度の向上にあるとみられている。処理速度の向上は、視野の拡大ももたらす。教授によれば、高齢者の交通事故の大半が交差点で発生する理由は、加齢に伴い起こる視野狭窄にある。高齢者はまっすぐ前しか見えず、周辺に注意が向かなくなるのだという。

「ロード・ツアー」群は、クロスワードパズル群に比べ、集中力の他、一つの知的作業から別の知的作業へ移行する際のすばやさ、新しい情報を処理する速度においても高いスコアを示し、認知能力は1.5歳から7歳近く若返っていた。


元論文のタイトルは、”A Randomized Controlled Trial of Cognitive Training Using a Visual Speed of Processing Intervention in Middle Aged and Older Adults”です(論文をみる)。

ボケ防止の目的でクロスワードパズルをやっているヒトも多いと思います。上の記事をみるとショックを受けるのではないでしょうか?

ロード・ツアーというゲームは、自動車の運転での視野狭窄の改善に直結しているということで採用されたのかもしれませんが、状況判断や対応スピードの訓練が重要ということであれば、日本で人気のドラゴンクエストシリーズやゼルダの伝説シリーズなどでも同様の効果が期待できるのではないかと思います。

どちらかといえば、若者用に開発されたテレビゲームが、加齢に伴う認知能力低下の防止に効果があるというのが面白いと思いました。

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