新型コロナウイルスに感染した人の40~45%が無症状感染者の可能性があるという研究結果
以下は、記事の抜粋です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界中に多大な被害をもたらしており、記事作成時点では世界中で780万人を超える人々が感染し、死亡者数は43万人を超えています。COVID-19は人によって症状の程度に大きな幅があるほか、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染したとしても必ずしも明確な症状が現れるわけではないことがわかっています。アメリカのスクリプス研究所が発表した論文では、「SARS-CoV-2に感染した人のうち40~45%が無症状である」との結果が示されました。
スクリプス研究所の分子医学教授であるEric Topol氏が応用行動学者のDaniel Oran氏と共に行った研究では、世界中の16にわたる多様なコホート研究からデータを収集しました。
データ収集に用いられたケースにはアイスランドで実施された無作為抽出研究に加え、セオドア・ルーズベルトやオハイオ州の刑務所、イタリア北部の都市、クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号、ボストンやロサンゼルスのホームレスシェルター、武漢から帰国した日本人、スペイン・トルコ・イギリスから帰国したギリシャ人、ラトガース大学の学生および関連病院の従業員など、多様な集団を対象に行われた検査結果が含まれていたとのこと。
SARS-CoV-2に感染した人のうちどれほどの割合がCOVID-19を発症し、どれほどの人が無症状のままだったのかを分析した結果、感染者のうち40~45%が無症状だったことが示されたと研究チームは主張しています。Oran氏は「彼らのほとんど全てに共通していたのは、感染した人の大部分が症状を示さなかったということです」と述べました。
また、研究チームはイタリアやセオドア・ルーズベルトのケースから、SARS-CoV-2の無症状感染者が別の誰かにSARS-CoV-2を感染させたケースを確認したとのこと。無症状の感染者が14日以上にわたってSARS-CoV-2を他人に感染させる可能性があると示唆していますが、実際の感染力などを調査するには無症状感染者を含むより大規模な調査が必要だそうです。
無症状感染者は自覚症状がない一方で、全く体に害がないというわけではありません。ダイヤモンド・プリンセス号の無症状感染者を対象に行われたCTスキャンの結果、無症状の人のうち54%から肺の異常が確認されていることから、無症状でも体に悪影響が及ぶことが示唆されています。
元論文のタイトルは、”Prevalence of Asymptomatic SARS-CoV-2 Infection”です(論文をみる)。
おそらく、肺の奥にウイルス感染が限局している場合、ヒトが症状を自覚することが多いのどや鼻などには炎症が少ないので症状が感じられず、感染が進行するといきなり呼吸困難で発症するのだと思います。進行しない場合は、呼吸と同時に肺の奥から排菌するので無症状のヒトからの感染もあるのでしょう。
いずれにしても、今の日本のように症状があってもなくてもマスクをするのは感染の拡大を防ぐのに役立っていると思います。
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