尿酸トランスポーター1(URAT1)を阻害して尿酸の再吸収を抑制する高尿酸血症治療薬「ドチヌラド(商品名:ユリス錠)」

尿酸の再吸収を抑制する新しい高尿酸血症治療薬「ユリス錠0.5mg/1mg/2mg」
以下は、記事の抜粋です。


選択的尿酸再吸収阻害薬「ドチヌラド(商品名:ユリス錠0.5mg/1mg/2mg、富士薬品)」は、尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害することで、尿酸の尿中排泄を促進し、血中尿酸値を低下させます。

<効能・効果>

痛風、高尿酸血症の適応で、2020年1月23日に承認され、5月25日より発売されています。

<用法・用量>

成人にはドチヌラドとして0.5mgを1日1回経口投与で開始。維持量は通常1日1回2mgですが、患者の状態に応じて1日1回4mgを超えない範囲で適宜増減できます。

なお、尿酸降下薬による治療初期には、血中尿酸値の急激な低下により痛風関節炎(痛風発作)が誘発されることがあるので、増量する際は、投与開始から2週間以降に1日1回1mg、投与開始から6週間以降に1日1回2mgとするなど徐々に行う必要があります。

<安全性>

痛風を含む高尿酸血症患者を対象とした第III相試験における主な副作用は、痛風性関節炎51例(9.6%)、関節炎11例(2.1%)、四肢不快感8例(1.5%)などでした(承認時)。

高尿酸血症は、尿酸排泄低下型高尿酸血症、腎負荷型(尿酸産生過剰型、腎外排泄低下型)高尿酸血症、混合型高尿酸血症に大別され、病型分類に応じた薬剤選択が原則となっています。日本人に多いといわれる尿酸排泄低下型に対しては、ベンズブロマロン(ユリノーム®)などの尿酸排泄促進薬が推奨されていますが、劇症肝炎などの重篤な肝障害への懸念や腎機能低下患者に使用しにくいなどの理由により、病型にかかわらず尿酸生成抑制薬のアロプリノール(ザイロリック®)、フェブキソスタット(フェブリク®)、トピロキソスタット(トピロリック/ウリアデック®)が使用されるケースもあります。

本剤は、腎臓の近位尿細管に存在する尿酸トランスポーター1(URAT1)を選択的に阻害することで、尿酸の再吸収を抑制する新規の尿酸排泄促進薬です。非臨床毒性試験において肝障害性を示唆する所見はなく、腎機能が軽度~中程度に低下した場合の投与制限もありません。相互作用については、ピラジナミドとアスピリンなどのサリチル酸製剤は尿酸排泄抑制作用があるため併用注意となっています。

臨床効果については、痛風を含む高尿酸血症患者(尿酸産生過剰型を除く)を対象とした2つの国内第III相試験において、ベンズブロマロンおよびフェブキソスタットに対する非劣性が確認されました。また、後期第II相試験において、血清尿酸値6mg/dl以下の達成率は用量依存的に増加し、4mg投与群では100%でした。

ほかの尿酸排泄促進薬と同様に、多量の尿酸が尿中に排泄されると考えられます。尿が酸性の場合には、尿アルカリ化薬などの併用により、尿pHを6.0~7.0に維持して尿路結石を予防することも覚えておきましょう。


ドチヌラドは、肝障害の原因と考えられるミトコンドリア毒性やCYP2C9阻害による薬物相互作用の少ない選択的なURAT1阻害薬として日本の株式会社富士薬品で創薬されたそうです。海外での上市はまだのようです。

記事にも書かれていますが、尿酸を尿中に排泄すると尿のpHが下がって尿路結石が発症しやすくなる問題があります。先行する尿酸生成抑制薬(キサンチンオキシダーゼ阻害薬)のアロプリノール(ザイロリック®)やフェブキソスタット(フェブリク®)が広く使われているので、どのような病態に第一選択となるのかが問題です。新しい高尿酸血症のガイドラインでどう扱われるかを楽しみに待ちたいと思います。

商品名が似ている薬があるので取り違えに気を付けてください。

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