人気の「グルテンフリー」の落とし穴、大半の人は避ける科学的根拠なし

人気の「グルテンフリー」の落とし穴、大半の人は避ける根拠なし…顕著な健康上の利益はなく体重増加も、グルテンはなぜ悪者にされたのか
以下は、記事の抜粋です。


グルテンの摂取を控えると健康になるという主張に後押しされて、グルテンフリー食の人気がこの10年で急上昇し、世界のグルテンフリー食品市場は2032年までに140億ドル(約2兆1000億円)に達すると予測されている。しかし、グルテンを避けることは本当に健康に良いのだろうか?

医学的な理由でグルテンを避けなければならない人もいるが、圧倒的に多くの人は明確な理由もなくグルテンフリー食を実践している。

グルテンとは何か? 避けるべき?
グルテンは小麦やライ麦や大麦に含まれるタンパク質です。グルテンは食品の結合剤としてはたらき、パンの骨組みとなって食感と風味を良くします。グルテンの主な供給源である小麦には、体に良い栄養素、タンパク質、食物繊維、鉄分、ビタミンなどが豊富に含まれている。特に全粒小麦を食べることは心臓に良い影響を及ぼすとされています。

ほとんどの人についてはグルテンを避けるべき科学的根拠はない。ただし、セリアック病という自己免疫疾患をもつ人は、グルテンに対して免疫介在性反応を起こします。セリアック病の人がグルテンを含む食品を摂取すると小腸が損傷されてしまうので、グルテンを完全に避ける厳格なグルテンフリー食を実践しなければいけません。一方、小麦アレルギーのある人は小麦を避けるべきだが、グルテンを含む食品すべてを避ける必要はないという。

なぜこれほどまでに悪者にされたのか?
米食品医薬品局(FDA)は2014年、食品に「グルテンフリー」の表示をする際の基準を定めた。すると突然、ボトル入りの水やポテトチップスなど、もともとグルテンを含んでいない製品がグルテンフリーであることを宣伝しはじめ、グルテンは避けるべきものだという印象を消費者に与えるようになった。

食品のグルテンフリー表示は、グルテンを含んでいないことを示すだけで、健康に良いという意味はない。専門家の推定ではセリアック病の患者は世界人口の1%にもかかわらず、食品会社はグルテンフリーが万人にとって有益であるかのように宣伝することで、市場を拡大したのだ。メディアの過剰な宣伝も一役買っている。

グルテンを避けたときの悪影響
健康に良いイメージがあるグルテンフリー食は、必ずしも体に良いわけではなく、むしろ悪影響を及ぼすことも多い。グルテンフリーのパンは通常のパンよりもタンパク質が少なく、脂肪分が多い。平均するとグルテンフリー製品は砂糖も多く、カロリーも高いことを示した。

また、多くのグルテンフリー製品は通常の製品よりも食物繊維やタンパク質が少なく、飽和脂肪、炭水化物、塩分が多いと指摘されている。

米非営利団体グルテン不耐症グループ(GIG)も、グルテンフリー製品には食物繊維が不足しているため、グルテンフリー食を実践している人は十分な量の食物繊維を摂取できていないことが多いと報告している。


セリアック病は、北欧人に多い遺伝性の疾患で、欧州では150人に1人、欧米では250人に1人の割合で発症すると言われており、日本を含むアジア人が発症するのは極めて稀とされています。

セリアック病の症状には、下痢、体重減少、腹痛、膨満感、疲れやすさ、鉄欠乏性貧血などがあります。以下の検査を組み合わせて、セリアック病の診断が確定します。心配はヒトは調べてみてください。

●血液検査(抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(tTG-IgA)や抗エンドメサイム抗体(EMA))
●小腸の生検(絨毛の損傷の有無を確認)
●遺伝子検査(HLA-DQ2やHLA-DQ8)

 

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