エボラ出血熱 – 必要以上に怖がらなくてもいい5つの理由—-ファビピラビルに出番は来るのか?

エボラ出血熱 – 必要以上に怖がらなくてもいい5つの理由
表題の通りだと私も思いますが、念のため記事の5つの主張を検討してみました。主に以下の4つのサイトを参考にしました。
1.エボラ出血熱に関するQ&A(厚生労働省)
2.エボラ出血熱(国境なき医師団)
3.エボラウイルス疾患について(WHO)
4.エボラ出血熱 Ebola hemorrhagic fever(東京都感染症情報センター)


1.エボラウィルスの感染力はそれほど強くない

オオコウモリがエボラウイルスの自然宿主であると考えられています。ウイルスは野生動物からヒトに感染し、ヒト-ヒト感染によって広がります。従って、感染を疑われる動物やその死体や体液などとの接触も避ける必要があります。石鹸でも消毒できるのでこまめな手洗いが重要。アフリカの養豚場にはオオコウモリがいるので、オオコウモリ⇒ブタ(食品)⇒ヒト、の感染に気をつける必要があります。


2.症状の出ていない患者は感染力がない

初発症状が非特異的であるかもしれないので、実際には症状が出ているかどうかの判定は難しいかもしれません。


3.エボラウィルスは宿主を早く殺してしまう

これは、その通り。潜伏期間は2~21日で通常7日程度で、突然の40℃を超える発熱、頭痛、筋肉痛、のどの痛みなどで発症します。それに続いておう吐、下痢や多臓器不全がみられ、内出血と外出血がみられることもあります。検査所見では、白血球の減少、血小板の減少、肝臓の酵素の上昇がみられます。これらの症状は2~3日で急速に悪化し、約1週間程度で死に至ることが多い(致死率約90%)。


4.エボラウイルスは制御できる。

ウイルスのゲノムによほど大きな変異がおこならなければ、標準的な予防策で十分防げると思います。先進国の都会で流行するとは思えません。


富士フィルムの抗インフルエンザ薬ファビピラビル(Favipiravir、T-705)がエボラウイルスに効果があるということが話題になっています。探したところ、以下の2つの論文が見つかりました。
Successful treatment of advanced Ebola virus infection with T-705 (favipiravir) in a small animal model(PubMedをみる

Post-exposure efficacy of oral T-705 (Favipiravir) against inhalational Ebola virus infection in a mouse model(PubMedをみる

インフルエンザもエボラもどちらもRNAウイルスで、ファビピラビルはかなりブロードなRNA-dependent RNA polymeraseの阻害薬なので、エボラにも効くのではということのようです。これらの論文によれば、マウスでは良く効くようです。インフルエンザではあまり出番がなかったファビピラビルがエボラで活躍することを祈ります。

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