「コロナで飲んではいけない薬」や「コロナに危険な『薬』」はデマ記事。

COVID-19の入院リスク、RAAS阻害薬 vs.他の降圧薬/Lancet
以下は、論文抄録の抜粋(和訳)です。


背景:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の阻害剤が重度のCOVID-19を発症させる可能性が懸念されているが、疫学的な証拠は不足している。我々は、COVID-19の発生以来、スペインのマドリッドで行われた症例集団調査の結果を報告する。

方法 :この症例集団研究では、マドリード市内の7つの病院から、PCRでCOVID-19の診断が確定し、入院を必要とする18歳以上の患者を連続的に抽出した。主な解析では、COVID-19の入院を必要とする患者とRAAS阻害薬の使用との関連性を、他の降圧薬の使用と比較して評価することに焦点を当てた。条件付きロジスティック回帰を用いて、年齢、性別、心血管系合併症および危険因子を調整したオッズ比(OR)および95%CIを算出した。

結果:症例1139例と対照群11390例のデータを収集した。症例のうち444例(39-0%)は女性で、平均年齢は69.1歳であり、性別と年齢は一致していたが、心血管疾患の既往と危険因子を有する症例の割合が対照群よりも有意に高かった。他の降圧薬使用者と比較して、RAAS阻害薬使用者では、COVID-19による入院を必要とする調整後ORは0.94であった。アンジオテンシン変換酵素阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬のいずれでもリスクの増加は認められなかった。RAAS阻害薬の使用とCOVID-19の入院を必要とするリスクとの間の調整済みORは、性別、年齢および背景にある心血管系リスクでは変更されなかったが、RAAS阻害薬の使用者である糖尿病患者ではCOVID-19の入院を必要とするリスクの低下が認められた。調整後ORはCOVID-19の重症度を超えて同様であった。

結論 : RAAS阻害薬は、致死的な症例や集中治療室に入院した症例を含め、COVID-19の入院を必要とするリスクを増加させるものではなく、COVID-19の重症化を防ぐためには中止すべきではない。


新型コロナウイルスはヒト細胞表面にあるアンジオテンシン変換酵素(ACE)2というたんぱく質を受容体として細胞に侵入し感染することが知られています。このため、論文に書かれているように、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などのレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAAS)の阻害剤が重度のCOVID-19を発症させる可能性が懸念されていました。

毎日新聞(サンデー毎日)などは以下のような記事を出してその不安を煽っていました。デマで良かったです。質の悪いセンセーショナリズムです。
コロナで飲んではいけない薬
集中連載後編 危ない21成分 ACE、ARB… 代替10成分 カルシウムチャネル拮抗薬…

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