アメリカで開発された遺伝子改変ブタの腎臓をサルに移植

ブタ腎臓をサルに移植へ 京都府立医大など、24年夏にも
以下は、記事の抜粋です。


京都府立医科大学などのチームは3月6日、2024年夏にも遺伝子を改変したブタの腎臓をサルに移植すると発表した。ブタの腎臓を人に移植する「異種移植」の実用化を見据え、複数のサルで移植後の長期的な経過などを確認する。治療の難しい腎臓病の患者向けに数年以内の臨床応用を目指す。

鹿児島大学と共同研究する。明治大学発スタートアップのポル・メド・テックが誕生させた遺伝子改変ブタを約4カ月育てて腎臓を取り出し、カニクイザルに移植する。長期的な経過を確認するほか、移植の手法や免疫抑制剤の投与方法、手術後の管理方法などの確立を目指す。

腎臓病の患者の中には、免疫による拒絶反応が起きるため他人の腎臓を移植しづらい人がいる。ブタの臓器では拒絶反応がない場合があるといい、臨床応用の際にはこうした患者が移植の候補者になるとみられる。

サルへの移植実験と並行して人での安全性確認も進める。患者の血液と遺伝子改変ブタのリンパ球を混ぜて拒絶反応が起きるか調べる予定だ。

ポル・メド・テックは2月、人への移植を想定したブタを国内で初めて誕生させた。米バイオ企業のイージェネシスが開発した遺伝子改変ブタと同じ遺伝情報を持つクローンブタだ。今後も複数の個体を誕生させる見込みで、研究チームが活用する。

臓器移植は腎臓などが正常に働かなくなった患者向けの治療法だが、脳死者といったドナーを確保しづらい。動物の臓器で代用する異種移植は多くの臓器を安定して供給できる方法として期待されるが、移植時に人の免疫が臓器を拒絶してしまうのが課題だった。

イージェネシスはブタのゲノム(全遺伝情報)を10カ所以上改変し、臓器を拒絶されにくくした。米では異種移植を治療法として確立するため、遺伝子改変ブタの臓器を脳死者に移植する実験や、治療法のない患者へ緊急措置的に移植する例が近年増えている。


わが国の透析患者数は年々増加し,2021 年末の施設調査結果による透析患者数は349,700 人に達し,人口百万人あたりの患者数は 2,786 人です(記事をみる)。標準的な人工透析の頻度は、週3回・1回4時間です(記事をみる)。透析を避ける治療としては腎移植があります。

しかし、移植を受けた人の平均的な待機の期間として、心臓は約3年半、肝臓は約1年、肺は約2年半、膵臓は約3年半、小腸は約10カ月となっています。 特に、待機者の多い腎臓移植は約15年となっています(記事をみる)。

このような状況を打開するために臓器の形や大きさがヒトに近いブタの遺伝子を改変して拒否反応が起こらないようにする研究や臨床試験が進んでいます。以前の記事にも書きしたが、アメリカではヒトへの心臓移植も2年前に行われ、日本での研究や臨床は完全に周回遅れになっています(記事をみる)。同じ実験が2年以上前にアメリカで行われているので、日本でできることはコストダウンぐらいになるのでしょうか?

2月の記事には「人間に移植する臨床研究を2025年中に始めることを目指す。」と書いてあったのに、今回は「数年以内の臨床応用を目指す。」とトーンダウンしました。トホホ、、、

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