サルも同調圧力を感じ、社会のルールに従っていることを発見
以下は、記事の抜粋です。
群れで社会生活を行っているサルもまた、人間と同様に仲間からの”同調圧力”を感じているようだ。古巣を抜けて別の群れに移住したサルが、それまでとは違う慣習に合わせて行動するようになることが観察されている。このような社会的適合が実験以外の状況で観察されたのは初めてだそうだ。
ベルベットモンキーの群れを観察
スイス、ローザンヌ大学などの研究チームは、9年にわたってベルベットモンキー250匹を観察した。ベルベットモンキーは、アフリカに生息するオナガザル科のサルで、10匹から50匹の群れを形成し、高度な社会生活を営んでいる。メスは生涯同じ群れで過ごすが、オスは成長すると別の群れに移っていく。
群れによって慣習が違うサル社会
ベルベットモンキーの3つの群れで観察された8万4000回以上の社会的なやり取りの分析では、そのうちの1つの群れには、仲間同士がお互いに毛繕いし合うというユニークな慣習があることが明らかになっている。この群れをここでは「群れA」としておこう。
群れAの一員たちは、ほかの2つの群れに比べ、よくお互いに毛繕いをし合っている。仲間から毛繕いしてもらったサルは、そのお返しに相手にも毛繕いをする。だから毛繕いという点において、群れAはほかの群れよりもずっと公平だ。
群れを移動したサルは空気を読んで行動するようになる
もう1つ面白い発見は、群れを抜けて別の群れに移ったサルが、引越し先のそれまでとは違う空気を読んで、きちんと行動を合わせるようになることだ。
それはどちらの方向にも起きる。例えば、群れAを抜けて別の群れに入ったオスは、それまでと違って社交的でなくなり、毛繕いしてもらった後でお返しをすることが少なくなった。反対に別の群れから群れAに入ったオスは、きちんとお返しの毛繕いをするようになった。
こうしたサルの適合は、エサを使用した実験では観察されていたが、社会的な行動として観察されたのは、初めてのことであるそうだ。また今回観察されたことは、サルの群れにはそれぞれで異なる社会的慣習があるだけでなく、それが社会的に受け継がれることで、長きにわたり安定して存在するだろうことをも示している。
元論文のタイトルは、”Social dynamics of vervet monkeys are dependent upon group identity(ベルベットモンキーの社会力学は集団のアイデンティティに依存する)”です(論文をみる)。
我々が同調圧力に弱いのはサルからの遺伝のようです。同調圧力から逃げるのは難しいことが良くわかりました。反抗するサルもいるのでしょうか?
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