“危険すぎる”病気「脂肪肝」…2つの原因

“危険すぎる”病気「脂肪肝」…注意すべき2つの原因とは?
以下は、記事の抜粋です。


あまり知られていない病気

肝臓の病気というと、何を思い浮かべるだろうか?

よく知られているのが、アルコールによる肝炎だろう。多量飲酒を繰り返すと肝臓が徐々に傷み、慢性的なアルコール性肝炎を引き起こす。ひいては肝硬変、一部が肝臓がんへと進行することもある。

次に思い浮かぶ肝臓の病気が、ウイルス性肝炎だ。肝炎ウイルスは、A型、B型、C型、D型、E型などがあるが、そのうち肝硬変や肝臓がんを起こすのがB型とC型である。肝臓がんの約七割はB型肝炎かC型肝炎が原因だ。胃がんと同様に、肝臓がんも多くは感染症が原因なのだ。

だが近年、抗ウイルス薬の劇的な進歩により、ウイルス感染症を背景とした肝臓がんは減少しつつある。一方で、危険性が知られておらず、その予防法も一般にあまり認知されていない肝臓の病気が増加している。それが脂肪肝だ。

脂肪肝とは、その名の通り肝臓に脂肪が過剰に溜まる病気であり、大きく二つに分けられる。「飲酒が原因となるアルコール性脂肪肝」と「飲酒が原因でない非アルコール性脂肪性肝障害(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)」である。

アルコール性脂肪肝は、エタノール換算で、男性では一日30g以上、女性では20g以上の飲酒を毎日続けると起こりうる病気である。一方、これより飲酒量が少ないケースでの脂肪肝をNAFLD(ナッフルディー)と呼ぶ。

お酒の1単位(純アルコールにして 20g)

ビール (アルコール度数5度)なら 中びん1本 500ml
日本酒 (アルコール度数15度)なら 1合 180ml
焼酎 (アルコール度数25度)なら 0.6合 約110ml
ウイスキー (アルコール度数43度)なら ダブル1杯 60ml
ワイン (アルコール度数14度)なら 1/4本 約180ml
缶チューハイ (アルコール度数5度)なら ロング缶 1缶 500ml

NAFLDのリスク因子は、肥満や高血圧、糖尿病、脂質異常症(中性脂肪やコレステロールの値が高い)などである。つまり、メタボリック症候群がNAFLDの大きなリスクなのである。

NAFLDは、その名前も実態もあまり知られていない。だが、日本人男性の約四一パーセント、女性の約一八パーセントがNAFLDにかかっているとされ、世界的にも患者数は増加傾向にある(2)。

NAFLDが恐ろしいのは、放置すると将来的に約5~8%が肝硬変に進行することだ。ひとたび肝硬変になれば再び元通りに戻ることはなく、肝臓がんに進行するケースもある。NAFLDの中でも特に、「非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)」と呼ばれるタイプは、肝硬変や肝臓がんのリスクが高いとされている。

またNAFLDは、心筋梗塞などの心血管系の病気や脳卒中など、肝臓以外の重い病気を併発するリスクも高い。健康診断で「脂肪肝」といわれてもそれほど重く捉えない人は多いかもしれないが、実は極めて恐ろしい病気であることがわかってきたのだ。

脂肪肝を治す方法

脂肪肝を治す上でもっとも大切なのは、生活習慣の改善である。まず、食事習慣の改善と適度な運動によって肥満を解消する必要がある。体重を7%減らせば脂肪肝が改善するというデータがあるため、これが一つの目標になる。もちろん、糖尿病や高血圧、脂質異常症など、原因となっている病気の治療も有効だ。

なお2020年には、新たにMAFLD(metabolic dysfunction-associated fatty liver)という概念が提唱された。高血圧や糖尿病、脂質異常症など、メタボリック症候群に含まれる代謝異常を合併する脂肪肝は、そもそもアルコール性・非アルコール性を問わず前述のリスクが高いことが分かってきたためだ。メタボリック症候群が肝硬変や肝臓がんにつながると思えば、その恐ろしさがよく分かるだろう。

なお、脂肪肝の特効薬といえる薬はない。近年、一部の糖尿病薬や脂質異常症の薬などの効果が期待されているが、まだエビデンスは不十分だ。今後の有効性、安全性を検証すべき段階である。近年になって危険性が詳らかにされた疾患の代表例といえるだろう。


私の知り合いに大量飲酒と肥満の両方の条件を満たしているので、「アルコール性」か「非アルコール性」の区別ができない脂肪肝のヒトがいます。Double troubleです。思わずOtis Rushの曲が浮かびました。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました