女性向け性欲高進剤、後期臨床試験で効果確認
以下は、記事の抜粋です。
ドイツの製薬会社べーリンガーインゲルハイムが開発を進める女性向けの性欲高進剤は、後期臨床試験での効果が確認されたという。
同社が性的欲求低下障害(HSDD)を適応症として開発する「フリバンセリン」は、女性の性的欲求を促進し、満足な性行為の回数を増やす効果があるとされており、フランスのリヨンで開催された学会で、HSDDに悩む閉経前の女性2000人以上を対象とした臨床試験の結果が発表された。
米P&Gの経皮吸収ホルモン貼付剤「イントリンサ」などと異なり、フリバンセリンは脳に直接働きかけ、性的欲求を促す効果があるという。
べーリンガーのスポークスマンは、フリバンセリンを米規制当局に申請する準備を進めていることを明らかにした。ただ、申請の具体的時期や発売予定日などについては言及を差し控えた。
“Viagra for Women? Drug Developed as Antidepressant Effective in Treating Low Libido”という英文の記事に詳しいです。
フリバンセリン(Flibanserin)という薬が、女性のHypoactive Sexual Desire Disorder(HSDD)の治療に有効だということが臨床試験により証明されました。
臨床研究を北アメリカで担当したノースカロライナ大学産婦人科のThorp教授は、「性的欲求が低下した女性の性的衝動(libido)を強める治療としては、最初の臨床試験だ」と言っています。
Thorp氏はさらに次のように話しています。
「フリバンセリンは、あまり効きの良くない抗うつ薬だったけれども、実験動物やヒトで性的衝動が高まることが見つかり、臨床研究にまで発展した。
男性にとって最も一般的な性機能障害が勃起障害(ED)なのに対し、女性にとっては性的衝動の低下が最も一般的なので、フリバンセリンは女性にとってのバイアグラのような存在となり得る。
これらの結果は、生殖年齢の女性を最も悩ませる性機能障害の薬理学的な治療法への新しいアプローチを示している。フリバンセリンは、現在唯一の治療法であるAndrogen replacement therapyのような副作用のない、効果的な治療法であることが証明されるかもしれない。」
臨床研究の詳細については、上記英文記事をご覧ください。
フリバンセリンの薬理学的性質としては現在、5-HT1A セロトニン受容体アゴニスト、5-HT2A セロトニン受容体アンタゴニスト、そしてD4ドーパミン受容体部分アゴニストなどの性質をもつことがわかっています。
バイアグラ(シルデナフィル)も狭心症治療薬としてはダメでしたが、ED治療薬として、多くの悩める男性を救うとともに、新しい酵素サブタイプ(PDE-5)の生理的役割の解明にも役立ちました。
タムスロシンの前立腺肥大治療効果も、同様のserendipityで発見されたことは、このブログでくり返し書いています。フリバンセリンにもこのような大化けを期待しましょう。
「(研究をする前から)将来生まれる成果を明確にすべきだ」などという人には、このような薬を飲んで欲しくないです。
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