B型、貧血リスク低い=遺伝子個人差、血液検査に関連-46種を発見

B型、貧血リスク低い=遺伝子個人差、血液検査に関連-46種を発見

以下は、記事の抜粋です。


血液型がB型の人は、貧血リスクが低い-。理化学研究所と東京大の研究チームが、約1万5000人分の遺伝子の個人差をコンピューターで解析し、血液検査の検査値20項目と関連する遺伝子46個を見つけた。項目によっては個人ごとに血液検査の「正常値」が変わる可能性もあるといい、疾患のより正確な診断に役立つという。2月8日、ネイチャー・ジェネティクス誌に発表した。

医科研に登録されている患者の遺伝情報と臨床検査の情報を解析。1人当たり計50万カ所の遺伝子の個人差(一塩基多型=SNP)と血液検査結果との関連を統計的に調べた。

その結果、γGTPやコレステロール値など20の検査項目について46個の遺伝子に新たな関連性が見つかった。

この中で、血液型の違いをもたらす遺伝子が、ヘモグロビンの濃度と関連を示すことや、細胞の老化に関連する遺伝子が赤血球の数と関連することが判明。特にB型の女性は、貧血のリスクが全体の平均より約21%低いことが分かった。

心筋梗塞などの兆候を調べるCKという検査項目の場合、正常値の上限は195(女性)だが、無関係と考えられていた免疫系の遺伝子の型によって、191でも高すぎる人や、204でも正常といえる人がいることが判明。一人ひとりの遺伝子型に合った正常値の設定が必要なことがわかった(読売の記事より)。

肝機能では、ALP値は遺伝子の違いにより最大99の個人差があり、γGTP値などは酒に強い遺伝子を持つ人で高い傾向があった(産経の記より)。


元論文のタイトルは”Genome-wide association study of hematological and biochemical traits in a Japanese population”です(論文の要約をみる)。

血液細胞の8つの形質と12種の代謝物に関するゲノムワイドの関連解析を行い、これら20の検査項目に関連する46の遺伝的多型(SNP)を新たに同定しました。

血液細胞関連の8つとは、白血球数(WBC)、赤血球数(RBC)、ヘモグロビン濃度 (Hb)、ヘマトクリット(Ht)、平均赤血球容積 (MCV)、平均赤血球ヘモグロビン(量)(MCH)、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、血小板数(PLT)です。

12種の代謝物とは、尿酸(urate)、脂質(HDL、triglyceride(TG))、γGTP(GGT)、alkaline phosphatase (ALP)、aspartate aminotransferase (AST)、alanine aminotransferase (ALT)、creatine kinase (CK)、総蛋白(TP)、albumin (ALB)、blood urea nitrogen (BUN)、serum creatinine (sCr)です。

全体で、89の遺伝子との関連を確認し、その中で46が新しい遺伝子だったという結果です。血小板表面に発現するタンパク質をコードする遺伝子と血小板数、細胞周期関連の遺伝子と血球数など、メカニズムが類推できるものもありましたが、多くの場合、関連のメカニズムは不明です。

この研究によって、血液検査の正常値が変るようなものではなさそうです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました