菅総理大臣が19日朝、記者の質問に応じるかたちで会見し、新型コロナの感染防止策として改めて3密回避とマスク着用を呼びかけるとともに、新たに食事時もマスクを着用する「静かなマスク会食」を呼びかけた。しかし著名な専門医から即座に「いや、総理違います」と指摘される事態となっている。

感染症専門医が「そんなもんザルです」
今週に入り、各地で新規感染者数が過去最高を更新し続けている。11月18日は全国で2200人を突破したが、さらに勢いを増しそうな情勢だ。そんななか19日朝、菅首相が会見し、国民に対し感染対策の徹底を呼びかけるとともに、新たな対策も提示した。

「特に専門家からは飲食を通じた感染のリスクが指摘されており、飲食の際でも会話の時にはマスクを着用する、こうした指示を言われております。是非、皆さん静かなマスク会食、これを是非お願いしたい。私も今日から徹底したいと思います」

分科会や神奈川県知事などからも呼びかけられている、いわゆる「マスク会食」というものだが、この対策を、感染症専門医が自身のSNSで明確に否定した。

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発信者は、今年2月、厚生労働省技術参与としてダイヤモンド・プリンセス号の現場対策にも関わっていた高山義浩氏(沖縄県立中部病院感染症内科・地域ケア科副部長)だ。このクルーズ船の検疫が終了したあと、任地の沖縄に戻り沖縄の感染対策の責任者の一人として、現在も奔走している。その氏が今朝の首相の発言に対して見せた反応は、専門医として的確かつ辛辣なものだった。

いや、総理ちがいます。東京など急速に感染が広がっている地域では、落ち着くまでのあいだ「一緒に食事をするのは家族など固定された親しい人のみとし、不特定の人との会食については控えましょう」です。飲食時のマスク着用などザルですよ。もう一度言います。そんなもんザルです。

つまり不特定多数との接触をやめることの方が重要であり、それを行わないままでは何の効果もないという、疫学的な観点からみれば至極妥当な話をしているに過ぎない。高山氏は感染症専門医として多くの実績があり、さきほど述べたように政府の施策にも長年関わっているトップクラスの専門家。行政のなかに入って様々な調整を行った経験も多く、だからこそ通常は無用な波風を立てることを嫌い、穏やかな口調に務めていることでも知られる。その高山氏が「そんなもんザル」と強い口調で総理の呼びかけを否定したインパクトは大きく、関係者を中心に数千人がこの発言をシェアしている。