エタネルセプトがアルツハイマー病リスクを減らす可能性について

アルツハイマー病のリスクが3分の1になる薬の研究が闇に葬られた理由とは?
以下は、記事の抜粋です。


ファイザー社は、一般に流通している関節炎治療薬がアルツハイマー病のリスクを64%も減少させる可能性があることを突き止めました。しかし、ファイザーは、この研究結果を公開することなく社外秘のままにしていましたことが判明したと、海外メディアのワシントン・ポストが伝えています。

Why Pfizer didn’t report that its rheumatoid arthritis medication might prevent Alzheimer’s – The Washington Post

Medicine needs to embrace open source | ZDNet

「エタネルセプト」は関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療薬で、ファイザーはこのエタネルセプトを「エンブレル」という商品名で販売しています。

2015年に入り、ファイザーの炎症・免疫学部門の研究者らは、医療保険データベースから、エンブレルがアルツハイマー病のリスクを大きく減少させる可能性があることを発見しました。具体的には、関節炎などの治療のためにエンブレルを服用していた患者は、そうでない患者に比べてアルツハイマー病の診断を受ける割合が64%も少なかったとのこと。ただし、これはあくまで統計的な結果にすぎないため、実際にエンブレルがアルツハイマー病のリスクを低減させるかどうか確かめるためには、さらなる研究が必要でした。

しかし、ファイザーはエンブレルの研究を打ち切り、アルツハイマー病のリスクを低減させる可能性があるとの情報も公にしませんでした。そのため、エンブレルの隠れた薬効は誰の目にも触れることなく放置されてしまう結果となりました。

ファイザーが研究を打ち切った理由について、同社は「統計結果は『厳格な科学的基準』を満たしていないため信用に足りなかった」と回答しています。同様に、結果を公表しなかった理由についても「公表すれば余計な期待をあおり、誤解を招くおそれがあった」と説明しました。また、エンブレルの分子は血液脳関門を通るには大きすぎるため、脳に作用する見込みは薄いという判断もあったとのこと。


エタネルセプトは、TNFαやTLαが結合する「TNFα受容体部分」とヒトIgG抗体の「Fc領域(定常領域)」を組み合わせた完全ヒト型可溶性TNFα/LTαレセプター製剤です。このような構造を有することから、エタネルセプトは「囮受容体」とも言われています(新薬情報オンラインをみる)。

エタネルセプトは、関節リウマチの炎症や関節破壊に関与するTNFαとTLαに結合し、その活性を抑制することで関節リウマチの進行抑制、症状緩和効果を発揮します。

上の話が本当なら、TNFαとTLαあるいはそのどちらかを減らせばアルツハイマー病が1/3に減るはずですが、、、

現在日本で関節リウマチに使用できる生物学的製剤は8剤あります。TNFと結合してその作用を抑制するものが5剤、キメラ型抗TNFモノクローナル抗体(インフリキシマブ)、可溶性TNFレセプターとヒトIgGとの融合蛋白(エタネルセプト、エンブレル)、完全ヒト型抗TNFモノクローナル抗体(アダリムマブ、ゴリムマブ、セルトリズマブペゴル)です。また、IL-6のレセプターに対する抗体製剤であるトシリズマブ(アクテムラ®)とサリルマブ(ケブザラ®)が使用されています。これらの使用実績はかなり蓄積されているはずですので、アルツハイマー病との関連は簡単に調べられるはずです。是非、誰かやってみてください。

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