収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させる

厳格降圧vs.標準降圧:SPRINT最終報告/NEJM
以下は、記事の抜粋です。


糖尿病や脳卒中の既往がない心血管イベント高リスク患者では、収縮期血圧目標を120mmHg未満とする厳格降圧が同目標を140mmHg未満とする標準降圧より、無作為割り付けされた治療を受けている期間と試験終了後の両方で、主要有害心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に低下させることを、アラバマ大学のCora E. Lewis氏らが示した。

対象は、50歳以上で糖尿病または脳卒中の既往がなく、降圧治療の有無にかかわらず収縮期血圧が130~180mmHgの心血管イベント高リスク患者9,361例を登録し、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧群(4,678例)と、同目標140mmHg未満の標準降圧群(4,683例)に無作為に割り付けた。主要評価項目は、心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、または心血管死の複合。試験期間中の主要評価項目イベントの発生は標準降圧群2.40%/年、厳格降圧群1.77%/年(ハザード比:0.73)、全死亡はそれぞれ1.41%/年および1.06%/年(0.75)であり、いずれも標準降圧群に比べ厳格降圧群で有意に低かった。低血圧などの重篤な有害事象は、厳格降圧群で有意に高かった。


元論文のタイトルは、”Final Report of a Trial of Intensive versus Standard Blood-Pressure Control”です(論文をみる)。

「私は血圧が高いのですが、薬は一切飲みません。血圧は低いほうがいいと言う医者は少なくありませんが、歳をとると血管が固くなるので、身体に異常がなくても血圧は上がります。これは自然なことです。高齢者にあえて血圧を下げる降圧剤(アダラート、ブロプレス、アムロジンなど)を使わなくてもいい。むしろ血圧を下げすぎたために、脳に血液が回らなくなり、失神することもある。最悪の場合、肝臓や腎臓に障害が出ることもある」などというのは科学的根拠のない虚言です(記事をみる)。ただし、失神には気を付けましょう。気を失いそうになったら頭の位置を心臓よりも低くするように指導してください。

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