製薬産業「国際競争力つける」?

製薬産業「国際競争力つける」‐二川医政局長
以下は、記事の抜粋です。


厚労省の二川医政局長は8月6日、会見で、製薬産業に関して「政府の成長戦略に期待される重要産業と位置づけられており、もっと国際競争力のあるものにしていくことが大切」と産業振興に意欲を示した。

二川氏は、安倍政権が成長戦略に期待される産業に医薬品を大きく位置づけているとの認識を示しつつ、「製薬産業は知的集約型であり、まさに日本にぴったりの産業だと思っていた。国際競争力を持っている医薬品も多く、今後もそういう製品を生み出せる素地を持っている」と指摘。「日本の製薬産業をもっと国際的な競争力のある産業に育成していくことが重要」と強調した。


先進諸国ではヒトの平均寿命が生物学的限界に近づきつつあり、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と研究開発して儲ける」という製薬会社のビジネスモデルは過去のものになろうとしています。そろそろ、「シーズを起点にした創薬」という幻想を捨てる時かもしれません。

また、製薬産業、中でも創薬は、ニ川氏が言われるように、知的集約型であり、最近の日本からの論文数のノビの鈍化に反映されているように、基礎科学で先行する欧米との差は詰まるどころか、ますます広がっています。創薬ばかりでなく、診断・治療一体型サービス(コンパニオン・ドラッグなど)、ジェネリックなどへの展開でも、ロシュやファイザーなどのグローバル企業と比べると大きく出遅れています。

日本の製薬企業の国際競争力が弱いのは、日本市場という大きくもないが小さくもない美味しい閉鎖的な市場があったからです。日本企業がこのぬるま湯に浸かっている間に、欧米の企業は激しい生存競争の中で国際競争力を磨いてきました。厚労省はこれまで、どちらかと言えばこのぬるま湯的環境を維持する方向で動いてきました。この方針が今後変わるということでしょうか?そうなれば、現在1200社もあるといわれる日本の製薬企業の大部分が危機的状況に陥ると思われます。ということで、たぶん、すぐには変わらないでしょう。

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