高校野球という児童虐待はまだまだ続きそう

選手、審判、応援団、観客がバタバタと倒れている…今年の「夏の甲子園予選」で起きている異様な光景
朝日新聞、毎日新聞、NHKなどでは報道されない話です。興味を持たれた方は、元記事をお読みください。以下は、記事で事実とされている記載の抜粋です。


7月15日の兵庫県大会、明石南ー滝川二の試合では、延長10回タイブレイクで明石南の選手6人が足をつり、うち4人が治療を受ける事態となった。試合は明石南が5ー9で敗れた。

7月26日に横浜スタジアムで行われた神奈川県大会の決勝では、球審の足がつって試合続行が難しくなり、試合が7分間中断。塁審の一人が球審になって試合が再開された。

各地の地方大会の関係者に話を聞くと
・晴天の開催日では、ほとんどの試合で足がつる選手が複数出ている
・一度水分補給や手当をしても、再度足がつる選手もいる
・審判にも体調不良を起こす人が出ている
・チアガールや応援団、一般観客なども倒れている
・投手など主力選手の足がつったことが原因で敗退するケースもある
・救急車のサイレン音が球場周囲でしょっちゅう聞こえる
という異常な状況になっている。

近年、環境省は熱中症の指標として、気温ではなくWBGT(暑さ指数)という数値の情報を提供している。これは①湿度、②日射・輻射など周辺の熱環境、③気温の3つをもとに算出したもので、気温が低くても湿度が高くて直射日光が当たるところでは、熱中症になる可能性が高くなる。

日本スポーツ協会はWBGTが31度以上では、すべての生活活動で熱中症がおこる危険性があるとしている。並行して気温35度以上では「特別の場合以外は運動を中止する」「特に子どもの場合には中止すべき」という指針を出している。

そんな中、日本サッカー協会(JFA)は2016年、熱中症対策ガイドラインを導入。
■WBGT=31度以上となる時刻に、試合を始めない。(キックオフ時刻を設定しない。) ■WBGT=31度以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策』を講じた上で、試合日の前日と翌日に試合を行わないスケジュールを組む。
■WBGT=28度以上となる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA 熱中症対策』を講じる。
その基本は、WBGTが31度以上、最高気温が35度以上では試合を行わないということだ。

選手の健康を一番に考える「プレイヤーファースト」の観点に立てば、至極当然の決定だと言えるだろう。残念ながら、高校野球はこうした対策を全く講じず、医師を待機させたり、水分補給体制を補強するなどの対応しかしていない。

そういう状況のなか、今夏は美談仕立てのエピソードがいくつか報じられるようになった。

7月13日、熊本県大会、翔陽ー八代戦。9回の攻撃。マウンド上で八代の投手の足がつった。八代ベンチから水分が届けられたが、その後も異状を訴えた。しかし八代はタイムを取ってしまったため、マウンドに駆け寄れずにいた。それを見た翔陽の投手がマウンドに駆け寄り、苦しむ八代投手にペットボトルを差し出した。(熊本日日新聞7月13日)

7月16日、京都大会、京都廣学館ー鴨沂戦、5回表、京都廣学館の投手が足をつった。すかさず、鴨沂の主将がマウンドへ水を届けた。(朝日新聞7月17日)

これらの話は「これぞスポーツマンシップ」という論調で報じられたが、筆者には疑問だ。

元プロ野球選手の松井秀喜氏はスポーツ報知の取材に対し「高校野球も時代の変化とともに変わった方が良いと思います」と話している。

「課題は日程だと感じますね。多くの地区は7月開幕ですが、もし可能ならば6月から始めるとかできないかと思いますが、難しいのでしょうかね? 夏の甲子園は前半、後半のような2部制にすれば負担は軽減されるのではと感じますが、それも難しいのでしょうかね?」と声をあげた。(スポーツ報知7月25日)


NHKの天気予報によると、高校野球が予定されている日程での気温は連日35度を超えます。しかし、中止するという話は聞いたことがないので、児童虐待はまだまだ続きそうです。

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