WHOが人工甘味料「アスパルテーム」を発がん性物質に分類しようとしている
以下は、記事の抜粋です。
人工甘味料「アスパルテーム」はカロリーオフをアピールする清涼飲料水や菓子など多くの食品に使われています。そんなアスパルテームについて、WHO傘下の国際がん研究機関(IARC)が発がん性物質への分類を検討していることが報じられました。
IARCは多様な物質や作用因子を対象に「発がん性に関する証拠の強さ」を評価して「グループ1:ヒトに対して発がん性がある(Carcinogenic to humans)」「グループ2A:ヒトに対しておそらく発がん性がある(Probably carcinogenic to humans)」「グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある(Possibly carcinogenic to humans)」「グループ3:ヒトに対する発がん性について分類できない(Not classifiable as to its carcinogenicity to humans)」の4グループに分類しています。ロイターの報道によると、IARCはアスパルテームを2023年7月中に「グループ2B:ヒトに対して発がん性がある可能性がある」へ分類する予定とのこと。
2022年には「人工甘味料、特にアスパルテームとアセスルファムKを大量に摂取した被験者は、摂取していない被験者よりがんのリスクが高い」「アスパルテームは乳がんと肥満関連がんとの関係が有意に示された」とする研究結果も報告されており、今回の分類検討はアスパルテームに関する多様な研究成果を踏まえたものと見られます。
ただし、IARCの分類はあくまで「発がん性に関する証拠の強さ」を対象にしたものであり、「発がん性に関するリスクの大きさ」を評価しているわけではありません。また、「グループ2B」への分類には「対象物質や作用因子の暴露を受けた『ヒト』『ヒトの細胞』『ヒトの組織』への有力な作用機序の証拠」は要求されず、以下の3つの条件のうち1つ満たしていれば「グループ2B」に分類されます。このため、「アスパルテームを摂取するとがんになる」という直接的な証拠が発見されたわけではない点には注意が必要です。
・ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」がある
・実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある
・「作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」がある
なお、「グループ2B」には「わらび」「漬物」といった身近な食品が含まれている他、「超低周波磁界」などの物理的現象も含まれています。
スクラロース、アセスルファムK、エリスリトールなどの人工甘味料は、発がん性は報告されていませんが脳卒中リスクなどとの関連も報告されています(記事をみる)。
いずれの研究や報告も、ダイエット飲料と砂糖入り飲料を混ぜて飲んだ場合の効果については調べていないことが多く、ダイエット飲料の変わりに砂糖入り飲料をどんどん飲んだ方が良いとは書いていません。以前にも書きましたが、「砂糖が入っていてもいなくても、甘いものは体に悪い」ということだと思います。
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