なぜ?「7月以降はマスク撤廃」が必要な深刻な理由 感染症専門医の視点
矢野氏の意見は興味深いですが、記事の書き方が下手です。以下は、7月以降にマスクを外せる条件と外した方が良い理由が書かれた部分の抜粋です。
Q. イギリスは感染がピークを過ぎたとしてマスク着用のルールを撤廃する方針を示した。日本でマスクを付けなくてもよくなる時期はいつ頃か。
A. 感染症専門・矢野邦夫医師(浜松市の感染症対策調整監):
現時点ではマスクをちゃんと着用してほしいと思う。いまここで止めると感染者が増え病床がひっ迫するので。ただ私は7月以降はもしかしたらマスクの着用をやめるのではないかと思っている。まず3つの条件がそろうからだ。
1)追加のワクチン接種
ブースター接種はオミクロンであっても重症化予防が90%ある。これが国民の多くは接種が6月末には終わる。国民全体が免疫をもてる。
2)プロテアーゼ阻害薬
これは内服薬だが新型コロナに対して極めて有効だ。リスクがある人の8~9割が重症化を防ぐことができる。感染した高齢者がこれによって重症化しない。(今認可されているメルク社製の薬ではなく、まもなく認可予定のファイザー製の薬のことです)
3)重症化の減少(元記事では、「感染力の低下」と書かれているがおかしい)
オミクロン株は重症化率が減っている。オミクロンの次にさらに感染力の強い変異株がでるかもしれないが、重症化率がもっと下がる。こういったウイルスは感染した人が軽症または無症状で出歩くことで感染者を作ることができる。重症化が厳しくなると家に閉じこもってしまうので、次の変異株はオミクロン株よりも感染力が強ければ重症化が減るだろう。
この3つが6月末にそろうので、マスクの着用をやめるのではないか。
もし6月以降もマスクの着用をつづけた場合の問題
もし7月以降もマスクをしていると2つの問題点が発生する。一つは熱中症だ。夏は熱がこもってしまって、重症化とか死亡する人がかなり増えてくる。新型コロナで重症化するよりも、熱中症で重症化するリスクが高まる。
もう一つはとても危惧しているが、いま子供たちは手足口病だとかヘルパンギーナといった感染症に罹患できていない。子供の時に感染すべき病原体に感染していない。
サイトメガロウイルスは子供の時に感染すれば鼻風邪ですむが、大きくなって妊娠中に感染すると、おなかの赤ちゃんにダメージを与える。目や耳に障害が出たり小頭症になったりする。先天性風疹症候群のようになる。しかも頻度は先天性風疹症候群の数千倍の頻度だ。
サイトメガロを含め、ヘルパンギーナ、手足口病に感染できる環境を作らなくてはならない。そうなると7月以降はそういったウイルスが流行できるようマスクの着用を終了することが必要ではないか。
上に書かれた7月以降にマスクを外せる3つの条件の「1)追加のワクチン接種(ブースター接種)」がメディアのセンセーショナリズムによる副反応宣伝でかなり危ない状況です。
また2)については他の薬物と同様に耐性の出現の可能性があります。ゾフルーザ®(一般名:バロキサビル)は塩野義の宣伝に乗せられた多くの医師が不必要な症例に処方したために、非常に短期間で耐性株が出現して使い物にならなくなりました。なお、ファイザーのパクスロビド®は、コロナウイルスの増殖に必要な酵素(プロテアーゼ)を阻害する「ニルマトレルビル」と、抗エイズウイルス薬の「リトナビル」を同時に服用する配合剤です(詳しくは関連記事をご覧ください)。
3つの条件がちゃんと揃えば、新型コロナウイルスの脅威はかなり減るとは思いますが、子供の感染症対策はマスクを外す以外で考えるべきだと思います。
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