ニホンアマガエルの腸内から単離したEwingella americanaという細菌が強力な抗がん作用を示す

カエルの腸内細菌が強力な抗がん作用を発揮して腫瘍を消失させることを日本の研究チームが発見
以下は、記事の抜粋です。


腸内細菌とがんの関係性が注目されています。北陸先端科学技術大学院大学の研究チームが、は虫類や両生類の腸内細菌が強力な抗がん作用を発揮することを突き止めました。

2021年には、がん免疫療法の効果がない患者に対し、適切な腸内細菌を投与することで患者の免疫反応を改善し、病状の安定や腫瘍の縮小が認められたとの研究結果も報告されています。また、国立がん研究センターなどの共同研究グループは2025年、がん免疫療法の治療効果を高める新しい腸内細菌を発見したと報告しました。

そこで、北陸先端科学技術大学院大学の都英次郎教授の研究チームは、ニホンアマガエルやアカハライモリ、ニホンカナヘビなどのは虫類や両生類から、45株の腸内細菌を分離しました。

これらの細菌株を系統的にスクリーニングしたところ、9株が抗腫瘍効果を示しました。ヒト大腸がんの主要な特徴を再現したマウスに対し、これらの細菌を投与して治療効果を評価した結果、1株では抗腫瘍活性を検出できませんでしたが、5株では有意な腫瘍増殖の抑制効果が示され、3株では腫瘍増殖の抑制効果と腫瘍退縮効果の両方が確認されました。

中でもニホンアマガエルの腸内から単離したEwingella americanaという細菌は、マウスに1回投与しただけで腫瘍が完全に消失し、検査で確認できなくなったと報告されています。これは、記事作成時点の標準治療として採用されている免疫チェックポイント阻害薬や化学療法を大きく上回る治療効果です。

E. americanaは低酸素状態のがん組織に集積し、がん組織を直接破壊する「直接的殺傷効果」と、免疫系を強力に刺激してT細胞やB細胞、好中球などの免疫細胞をがん細胞に集結させる「免疫活性化効果」の両方を示しました。

E. americanaは、がん組織に選択的に集積する一方で正常組織には定着しないという、腫瘍特異的な集積メカニズムを持っているとのこと。これには、「がん組織特有の低酸素環境」「がん細胞が発現するタンパク質による免疫抑制環境」「がん組織には血管が多く細菌が侵入しやすいこと」「細菌の選択的増殖を支援するがん特有の代謝産物」など、さまざまなメカニズムが複合していると考えられます。

また、E. americanaは血中から24時間後に完全に除去されたほか、肝臓・脾臓(ひぞう)・肺・腎臓・心臓などの正常な臓器には一切定着せず、引き起こされる軽度炎症反応は一過性で72時間以内に正常化するなど、優れた安全性プロファイルも示しました。60日間の長期観察でも、マウスに対する慢性的な毒性はみられなかったとのこと。

研究チームは「本研究により、天然細菌を用いた新しいがん治療法の可能性が実証されました」と述べ、今後は他のがん種への適用拡大や投与方法の最適化、併用療法の開発などを進める予定としています。


元論文のタイトルは、「両生類および爬虫類由来抗腫瘍性腸内微生物叢の発見と特性解析:細胞毒性と免疫調節作用を併せ持つ新規治療剤としてのEwingella americana」です(論文をみる)。

大学の発表をみると、腸内投与ではなく静脈投与なので、免疫が落ちているヒトのがん患者への臨床応用にはかなり難しいかもしれませんが、おもしろい研究だと思います。下の写真はニホンアマガエルです。

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