アンギオテンシンⅡによる血管収縮はJak2キナーゼ-RhoGEF-RhoAを介する

The Rho exchange factor Arhgef1 mediates the effects of angiotensin II on vascular tone and blood pressure

以下は、論文の要約です。


高血圧は、近代社会でもっとも頻度の高い病気の1つである。高血圧は、遺伝的要因と環境的要因の組み合わせによって発症すると考えられているが、その分子レベルでのメカニズムはまだ良くわからない。

高血圧では、低分子量Gタンパク質RhoAの動脈平滑筋細胞内での活性が高い。しかし、どういうメカニズムでRhoAが活性化されるのか、またそれが高血圧の原因になるかどうかは不明であった。

本論文では、アンギオテンシンⅡがRhoAを活性化するときには、Arhgef1というRhoAのグアニンヌクレオチド交換因子 (GEF) が特異的に働くことを示す。

そして、Jak2がArhgef1の738番目のTyrをリン酸化するという新しいメカニズムにより、アンギオテンシンⅡがArhgef1を活性化することを明らかにした。

マウスでは、Arhgef1を不活性化すると、アンギオテンシンⅡ投与による高血圧誘導に対して抵抗性になるが、正常の血圧調節には影響を与えない。

これらの結果は、Arhgef1を介するRhoAシグナル経路の制御がアンギオテンシンⅡ依存性高血圧の発症に中心的な役割をはたし、Arhgef1が高血圧治療の標的分子となる可能性を示している。


腎臓の傍糸球体装置が血圧低下を感知すると、血液中にレニンを分泌します。レニンは、アンギオテンシノーゲンをアンギオテンシンⅠに変換します。アンギオテンシン変換酵素(ACE)は、アンギオテンシンⅠをアンギオテンシンⅡに変換します。

アンギオテンシンⅡは、副腎皮質球状帯に作用してアルドステロンの分泌を促進します。また、脳下垂体に作用しバゾプレッシン(ADH)の分泌を促進します。さらに、血管平滑筋を収縮させて血圧を上昇させます(下の図を参照)。

これらのアンギオテンシンⅡの作用は、ほとんどAT1受容体を介しています。AT1受容体はGTP結合蛋白に働いてホスホリパーゼCを活性化し、IP3が細胞内Ca2+濃度を上昇させます。
Jak2キナーゼがどのようにして活性化されるのかはわかりませんが、本論文によると、Jak2やRhoAは、アンギオテンシンⅡによる血管収縮において非常に重要だとされています。

既にAT1受容体遮断薬(ARB)やACE阻害薬がかなり普及しており、レニン阻害薬も登場した現在、同じレニン-アンギオテンシン系に働くArhgef1阻害薬をつくるメリットがどのくらいあるのか?難しいところだと思います。
RhoAは血管収縮以外にもいろいろな働きをしています。このような薬は副作用がかなり出そうです。ARBやACE阻害薬は、どちらかというと副作用の少ない薬物です。高血圧の遺伝的要因もかなり研究されていますが、RhoAやArhfgef1という話はあまり聞きません。要約の最後は少し苦しいですね。

レニン-アンギオテンシン系

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