瀋陽滞在中に鹿の養殖場を訪れる機会がありました。瀋陽の都心から車で約30分、内モンゴルと比べるとかなり緑が濃い農村に着きました。舗装していない道を隔てて、水鳥が遊ぶ池と真新しい平屋建ての建物がありました。池は釣り堀、建物は鹿料理を出すレストランです。
午前10時半頃、レストランに入るとまず、「新鮮鹿血」が出てきました。1ヶ月に1回、麻酔した鹿の頚静脈から400ml採血するそうです。私を連れてきてくれた夫婦は、ヘパリンを入れて冷蔵保存した血を毎日杯1杯(約10ml)ずつ飲んでいるそうです。ちなみに、レストランではその1杯が200元でした。あまり気が進みませんでしたが、飲みました。8年前、ヘビの血が入った酒を飲んだのを思い出しました。
その後、「炒鹿茸片(角の炒め物)」、「杬椒鹿腩」、「烤鹿頚肉」、「新鮮鹿心(ナマの心臓)」、「烤香猪」、「炒孔雀蛋(孔雀の卵)」、「鹿排骨」、「炒鹿腰片(腎臓)」、「炸丁貴魚」、「鹿脳鶏蛋(脳入り茶碗蒸し)」、「酸白菜猪血腸」、「糖醋土豆」、「鹿肉餃子」などがどんどん出てきました。野菜は、無農薬野菜を使っているそうです。朝食は食べずに行ったのですが、大量に残してしまいました。
食後、200mぐらい離れた所にある鹿の養殖場を見学しました。大半は斑点のある梅花鹿と呼ばれる種類で、一部は馬鹿(大きくて模様がない、馬のような鹿)という種類が混ざっていました。別の種類が混ざっている一方、オス、メス、子供は別々に飼育されていました。現在約1000頭が飼われていて、近い将来、別の飼育場にも拡大して10000頭をめざしているそうです。この有限公司は、釣り堀とレストラン経営以外に、鹿茸(角)、鹿胎盤、鹿心(心臓)を凍結乾燥し、カプセルに加工したものと、ヘパリン化した鹿の血液の4種類を「保健食品(日本の「保健機能食品」に相当?)」として販売するために、SFDA(中国食品薬品監督管理局)に申請中だそうです。
胎盤には、エストロゲンやプロゲステロンが大量に含まれています。腸から吸収されたエストロゲンの大部分は肝臓で分解されてしまうと思いますが、プロゲステロンは経口避妊薬の主成分ですので、血中濃度が上がると思います。副作用として、エストロゲンは乳がん、プロゲステロンは血栓症との関係が良く知られています。日本の場合、これらのホルモンを除かないと認可は難しいように思いました。
鹿の角や血は、免疫力を増強し、風邪を引かないといわれたのですが、帰国後すぐに風邪を引きました。飛行機で、後ろに座っていた人が激しくクシャミをしていたのをもらったような気がします。カタル症状だけで、発熱はほとんどないので、新型インフルではなさそうです。
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