ブルース・ウィリスさん、認知症と診断
有名人だとこういう重要な個人情報も報道されてしまうのですね。それにしても残酷な話です。
『ダイハード』などの映画への出演で知られる米俳優ブルース・ウィリス(Bruce Willis)さん(67)が、治療法のない前頭側頭型認知症と診断された。家族が2月16日、明らかにした。ウィリスさんは昨年3月、認知能力の低下を理由に俳優業からの引退を表明していた。
家族は「2022年春にブルースが失語症と診断されたのを発表して以降、ブルースの病状は進行し、このたび前頭側頭型認知症と診断された」と説明。この病気の症状は意思疎通の問題にとどまらないとし、「これはつらいことであると同時に、ようやく明確な診断が出たことに安堵している」とした。
さらに、前頭側頭型認知症の治療法は今のところ存在しないが、将来的な開発に期待すると述べた。前頭側頭型認知症の原因は不明だが、発症することで人格が変わったり、社会性に欠けた行動や、衝動的な行動、周囲に対して無関心であるかのような行動を取ったりする場合がある。
以下は、「健康長寿ネット」からの引用です。
前頭側頭型認知症とは
前頭側頭型認知症とは「神経変性」による認知症の一つで、脳の一部である「前頭葉」や「側頭葉前方」の委縮がみられ、他の認知症にはみられにくい、特徴的な症状を示します。神経変性による認知症は、脳の中身である神経細胞が徐々に減ってしまったり、一部に本来みられない細胞ができ、脳が委縮することで発症することがわかっています。
前頭側頭葉型認知症の症状
脳の中で、前頭葉は「人格・社会性・言語」を、側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を主につかさどっています。そのため、前頭側頭葉型認知症を発症すると、これらが正常に機能しなくなることにより、下記のような特徴的な症状が表れます。
社会性の欠如:万引きのような軽犯罪を起こす、身だしなみに無頓着になるなど、社会性が欠如します。
抑制が効かなくなる:相手に対して遠慮ができない、相手に対して暴力をふるう、度を越したふざけをするなど、自分に対して抑制が効かなくなります。
同じことを繰り返す:いつも同じ道順を歩き続ける、同じような動作を取り続けるといった、同じ行動を繰り返すようになります。
感情の鈍麻:感情がにぶくなる、他人に共感できない、感情移入ができないといった、感情の鈍麻(どんま:感覚がにぶくなる)が起こります。
自発性な言葉の低下:相手に言われたことをオウム返しする、いつも同じ言葉を言い続けるといった、自発的な言葉が出にくくなります。
これらの症状が緩徐(かんじょ:ゆるやかで静か)に進行し、発症後平均6~8年で寝たきりの状態となります。
前頭側頭葉型認知症の原因
前頭側頭型認知症の原因は現在研究が進められており、最近の研究で脳の神経細胞の中にある、「タウ蛋白」および「TDP-43」というたんぱく質が関与していることがわかってきました。しかし、原因解明までには未だ至っていません。
前頭側頭型認知症の診断
前頭側頭型認知症を疑う場合、まず「問診」を行い、前頭側頭型認知症特有の症状が出ているかを確認します。このとき、患者本人以外に家族にも同席してもらい、自宅での様子を客観的視点から聞くことで、総合的に診察を勧めていきます。問診の結果、前頭側頭型認知症の疑いがある場合には、アルツハイマーと区別するためにCTやMRIによって前頭葉や側頭葉前部に委縮が認められるかを調べます。
前頭側頭型認知症の治療
前頭側頭型認知症に対して、症状を改善したり、進行を防いだりする有効な治療方法は開発されていません。前頭側頭型認知症の特徴的な症状に対して、抗精神病薬を処方する対症療法が主に行われています。
前頭側頭型認知症のケア
前頭側頭型認知症は、発症年齢が50~60代と比較的若く、働き盛りの年代で発症することが多いことや、患者さんご本人が「自分は病気である」という自覚がないこと、特徴的で対応が難しい症状が多いことから、ご家族による介護の負担はとても大きなものとなります。そのため、家族だけで抱え込まず、専門医や福祉サービス、家族会などプロの方や同じ境遇の方々と情報を共有し、連携していくことが大切となります。
“Moonlighting”時代のBruce Willisがとても好きでした。
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