「ハゲていると新型コロナウイルス感染症が重症化する」という可能性
以下は、記事の抜粋です。
男性は女性よりも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクが高いとこれまでの調査で判明していますが、そんな男性の中でもハゲている人は特に重症化リスクが高いという研究結果が発表されました(引用記事、その1、その2、その3、その4)。
COVID-19が重症化するかどうかには、性別・年齢・持病・喫煙歴などが関係しており、男性の死亡率は女性の約2倍だと算定されています。
アメリカとスペインの研究者らが共同で発表した論文によると、スペイン・マドリードにある3つの病院に収容されている男性のCOVID-19感染者のうち、79%が薄毛だったとのこと。対象となった患者の年齢層では、薄毛を患っている男性の割合は通常31~53%ほどであるため、COVID-19が重症化している患者が薄毛を患っている割合は通常の2倍ほどです。女性は薄毛を患いにくいという生物学的な特徴がありますが、この調査では女性においても薄毛とCOVID-19の重症化は関係していると確認されました。
薄毛がCOVID-19の重症化リスクと関係しているのは、男性型脱毛症に影響を与えるアンドロゲンという男性ホルモンが原因だとみられています。新型コロナウイルスが細胞に侵入する際に重要な役割を果たすタンパク質分解酵素「II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)」はアンドロゲン受容体と結合すると活性化するため、男性ホルモン・アンドロゲン受容体・TMPRSS2が多いほど、COVID-19が重症化する確率が高まると考えられます。アンドロゲンとCOVID-19関連性について調べたカリフォルニア大学とイェール大学の研究も、血中のアンドロゲン濃度が高いほどCOVID-19の感染確率・重症化確率が高いと結論付けています。
アンドロゲン受容体を阻害する抗アンドロゲン薬の有効性について調査が進められています。抗アンドロゲン薬はCOVID-19の治療薬として新たに開発された薬物ではなく、前立腺がんや前立腺肥大症、男性型脱毛症の治療薬としてすでに安全性が証明されています。
イタリアのパドヴァ大学の調査によると、抗アンドロゲン薬の投与などのアンドロゲン遮断療法を受けている男性は、アンドロゲン遮断療法を受けていない男性に比べてCOVID-19の感染確率が4分の1になると判明。「新型コロナウイルスに暴露した直後に抗アンドロゲン薬を投与すると感染する確率が下がる」という可能性まで示唆されているとのこと。
なお、抗アンドロゲン薬は、女性の乳房のように男性の胸部が膨らむ女性化乳房や性欲の低下などの副作用が生じるため、投与には医学的な監視が不可欠とされています。
先日の忽那先生の記事には、「中には『毛が薄くなってきた』と訴えられる患者さんもいらっしゃいます。」という記載もありました。
新型コロナウイルスについての研究報告には、データが怪しいものが多く、センセーショナリズムに利用されて忘れられるものが多いです。
リスクにしても、抗アンドロゲン薬のベネフィットにしてももっともっと多くの症例数で確認して欲しいと思います。
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