ADAが新たな診断基準発表、HbA1c6.5%以上を糖尿病とする
米国糖尿病学会(ADA)と国際糖尿病連合(IDF)、欧州糖尿病学会(EASD)の3団体は6月5日、新たな糖尿病診断基準を発表しました。指標にHbA1cを採用し、「HbA1c6.5%以上を糖尿病とする」と定めました。日本でも同様の動きがあります。
ヘモグロビンは赤血球成分の一つです。赤血球の寿命は約120日ですが、この間にグルコースはヘモグロビンと徐々に結合していきます。成人ヘモグロビンの97%を占めるヘモグロビンA(HbA)にグルコースが結合したものをHbA1cと呼びます。
結合の割合は血糖の濃度と時間に依存するので、高血糖が長く続けばそれだけHbA1cが高くなります。HbA1cの値は、採血時からさかのぼって過去1~2ヶ月間の実測の血糖値の平均と相関しています。値は総ヘモグロビン量に対するHbA1cの割合(%)で表します。
現在の日本での糖尿病の診断基準は、99年に策定されたもので、空腹時血糖値が126mg/dl以上、または食後血糖値(ブドウ糖負荷後2時間血糖値)が200mg/dl以上の場合、糖尿病と診断しています。
ADAは以下のような根拠で診断基準を変更したと説明しています。
(1)糖尿病の基本的概念である持続性高血糖は、空腹時血糖値や食後2時間血糖値などでは代表できず、現行の指標の中ではHbA1cが最も適切である。
(2)HbA1cの測定は、空腹時採血や負荷試験を必要としない。
(3)現行の治療目標はHbA1cに基づいており、診断でもHbA1cを使った方が診断と治療の間に連続性が認められる。
ただし、溶血性貧血、鉄欠乏性貧血、腎性貧血などの赤血球寿命の短縮を伴う病態や、肝硬変では実際の値よりも低くなり、平均血糖値を反映しなくなります。逆に、家族性高HbF血症、再生不良性貧血、尿毒症、アスピリンやアスコルビン酸の大量摂取、アルコール中毒症などで、高値を示すことがあります。このような場合には、グリコアルブミンなどを測定し、血糖コントロールを推定することになると思います。
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