以下は、記事の抜粋です。
米上院金融委員会は2月20日発表した報告書で、製薬大手グラクソ・スミスクラインが糖尿病治療薬「アバンディア」が心臓発作のリスクを高めることを知りながら、長年情報を開示していなかったと指摘した。
報告書は334ページあり、同薬品の安全性に関する懸念を見逃していたとして、米食品医薬品局(FDA)の監督責任にも言及している。
同委員会のマックス・ボーカス委員長(民主党)は、グラクソ・スミスクラインが患者の医薬品に対する信頼を悪用しているとコメントした。報告書は超党派で発表され、共和党議員の署名もある。
一方グラクソ・スミスクラインの関係者はCNNに対し、FDAがデータを検討したうえで同薬品を認可したと述べ、安全性に問題はないと主張。治験を7回行った結果、心臓発作と無関係であることが裏付けられていると強調した。
昨日の記事で紹介したチアゾリジン系薬(TZD)には、ピオグリタゾン(アクトス)の他に、ロシグリタゾン(アバンディア)という薬がアメリカでは糖尿病治療に使われています。
これらの薬物は、PPARγに働くのですが、PPARγは脂肪細胞だけではなく、腎臓の尿細管にもあります。その結果、Naの再吸収が増加し、水分貯留や心不全という副作用の恐れがあるとされています。
ロシグリタゾンは、年商30億ドルの薬だったのですが、2007年に関連記事1のような心臓死リスクと心臓発作リスクを高めるというメタアナリシスの報告がされ、処方が急減し、訴訟もおこりました。そのためか、日本での発売のメドはまだ立っていません。
しかしその後、2009年RECORD試験の結果、心血管リスクの有意な上昇は見られないという結論だったので、この騒ぎはおさまったと思っていました(関連記事2)。今回の記事の背景は、良くわかりません。
ピオグリタゾンはロシグリタゾンよりも心臓死リスクと心不全リスクが低いとされています。しかし、ピオグリタゾンにもNaの再吸収増加作用がありますので、心不全の患者には使用しないのが無難です。
関連記事
1.米国のロシグリタゾン騒動の行方は:処方数急減し、訴訟にも発展
2.ロシグリタゾンに心血管リスクの有意な上昇は見られず
コメント