myostatin遺伝子の自然変異により生じたマッチョ牛 ”Belgian Blue”

筋肉隆々スーパーマッチョなベルギーの巨大牛、「Belgian Blue」の見事なプロポーション

脂肪の少ないやわらかい肉を求めて、マッチョ(Double-Muscled)な牛の形質を自然淘汰(mating)して作出した品種が”Belgian Blue”です。

YouTubeの動画”Meet the Super Cow”では、Belgian Blueについて科学的に解説しています(動画をみる)。「筋肉増強ステロイドを使ったみたいだ」という質問に対して、そうではなく、全く自然に作出されたと説明されています。自然突然変異で生じた形質を人工授精で維持しているようです。


Belgian Blueの遺伝子解析により、myostatinという骨格筋の増殖を抑制するタンパク質をコードする遺伝子に11塩基の欠失があることがわかりました(論文をみる)。この変異をhomoで有した場合、正常なmyostatinがなくなり、その結果、骨格筋が通常の約2倍に増加したと考えられます。

myotatin遺伝子ノックアウトマウスは、Belgian Blueと同様に筋肉が増加し、「マイティー・マウス」と呼ばれているそうです。また、ヒトでの変異も報告されています。

myostatinの総説を読むと、myostatinは、BMP (bone morphogenetic protein)/TGF-β (transforming growth factor-β) superfamilyのメンバーで、受容体型のserine/threonineリン酸化酵素に結合し、細胞内情報伝達はsmad2/3経路を介しているようです。ヒトでは受容体の変異も知られています。さらに、myostatin抑制薬も筋ジストロフィー治療などの目的で開発中のようです。

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