ウナギの祖先は深海魚 DNA解析から推定 東大など
以下は、記事の抜粋です。
ウナギの祖先は深海魚だった。そんな推定を、東京大海洋研究所と千葉県立中央博物館のグループが遺伝子の解析から示し、英科学誌Biology Letters電子版に1月6日付で発表した。
グループはウナギ科を含む近縁の19科56種が細胞に持つミトコンドリアDNAの全長塩基配列を比較し、系統関係を調べた。するとその中では、熱帯付近の中深層にすむシギウナギ科、ノコバウナギ科、フクロウナギ科などと近いとわかった。ウナギ科とはむしろ遠い関係とみられていた仲間だ。
このため、ウナギの祖先はシギウナギなどと同じような深海にいたが、熱帯から温帯にかけては、海より淡水域の方が栄養豊富なため、えさを求めて成長の場を淡水域に移すように進化したと推定できた。
千葉県立中央博物館の宮正樹・上席研究員は「淡水域にウナギと競合するような大型魚類がいなかったことも、こうした回遊を容易にしたのかもしれない」とみる。
長距離回遊自体がフィリピン海プレートの拡大によって生じたのではないかという説もあります。以下に少し紹介します。
レプトケファルス幼生をもつ魚類が登場したのは、いまから約2億5000万年前と推定されています。 その頃、各大陸がパンゲア大陸という1つの超大陸に集まっていました。 このとき、ちょうど古生代と中生代の境界をなす史上最大級の大絶滅があり、90%以上の海の生物種が失われました。
この「穴」を埋めるように、淡水魚の一部が海に進出し、その過程で海流に乗りやすいかたちの幼生を大量にばらまくという拡散戦略を開発したのでしょう。パンゲア大陸はやがて分裂を開始し、その過程でウナギの仲間が多様化しました。 そのうちのウナギ属だけが淡水に戻りました(もっと詳しくみる)。
この説では、もともと淡水魚だったウナギが海に入ったというストーリーです。私はこちらの説が正しいように思います。つまり、「深海ウナギの祖先は淡水魚」です。
いずれにしても、元論文のタイトルは、”Deep-ocean origin of the freshwater eels”です(元論文をみる)。
下の図は元論文からの引用です。Nemichthyidaeというのがシギウナギ、Serrivomeridaeはノコバウナギです。
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