シャラポワが飲んでいたメルドニウム(meldonium)その2

先日のNHKのニュース番組で、シャラポワのドーピングのニュースの後で、水泳の荻野公介が高地トレーニングで頑張っているというニュースを放送していました。高地トレーニングというのも、血液の酸素運搬能力を高めて持久力や運動能力の増強を狙ったドーピングみたいなものなのに、などと思いました。

さて、シャラポワが飲んでいたメルドニウム(ミルドロネート)について、その後も多くの記事が書かれています。以下に、気になったいくつかを抜粋して紹介します。


ロシアでは常飲、米国では販売禁止。シャラポワの薬「メルドニウム」って?
昨年のドーピングの検体分析によると、ロシア選手から集められた4316中724の検体、つまり、およそ6人に1人からメルドニウムが検出されている。

ロシア外務省がメルドニウムのドーピング規制に対して疑問を呈する
昨年のアゼルバイジャン・バクで開催されたヨーロピアンゲームにおいて、490人のアスリートがメルドニウムを使用していたかもしれないと報じている。当時はまだメルドニウムは禁止されていなかった。WADAは、メルドニウムが競技力を高めるエビデンス(※科学的な広い治験等に基づく根拠)があり、これがスポーツ界で広く使われていることから禁止に至ったとしている。だが、ラブロフ外相はさらなるエビデンスを要求。この薬物が旧ソビエトで開発されたという先入観から禁止されたものではないかと示唆している。

ヘッド社がメルドニウムのドーピング規制についてWADAに異議を唱える
「我々としては、WADAがメルドニウムを禁止しなければならないとする主張の裏付けとなる、科学的な研究結果を発表することを推奨したい」とエリアッヒ氏は話している。

「シャラポワの禁止薬物」は、80年代のソ連兵も服用していた
リトアニアやロシア連邦などでは処方なしで薬局で買える市販薬だ。1979~89年のソ連によるアフガン侵攻中、メルドニウムを服用したソ連兵は、高高度の山岳地帯や台地地形の砂漠で重いバックパックを運ぶことができた。実際、ラトヴィア有機合成研究所科学委員会のカルヴィンス委員長は、メルドニウムの開発で(欧州特許庁による)2015年欧州発明家賞の最終選考に残った。カルヴィンス委員長によると、ソ連時代に、ラトヴィアのGrendiks社は、ソ連軍にメルドニウムを何百トンも出荷したという。


第1の疑問は、メルドニウム(ミルドロネート)がどの程度効くか?です。ロシアの外務大臣やヘッド社が主張するように、メルドニウムが競技力を高めるエビデンス(論文として公表されている証拠)はありません。

アメリカで承認・市販されていない理由は、副作用は重大なものは無さそうなので、1)効果が無いあるいは弱い、 2)薬が安すぎて売っても儲からないので製薬会社が承認申請をしない、のどちらかあるいは両方だと思います。

効果が無いなら、いかがわしいサプリのようなものなので、ドーピング薬物に指定する必要はなく、効果が弱くてもあるなら、日本でも心疾患に使えるようになれば良いと思います。是非、本格的な臨床試験を行って欲しいものです。

以下は、メルドニウムの構造式です。簡単に安く作れそうです。

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