Dopamine restores reward prediction errors in old age
以下は、論文要約の抜粋です。
情報に基づいて、どうすれば報酬が得られやすいかを意思決定をする能力は加齢とともに減退する。研究者らは、機能的MRIを用いて、健常人でも高齢者の場合は、黒質などからのドーパミン入力の多い脳の領域である側座核での報酬予測シグナルにエラーが出ることを示した。
ドーパミンの前駆物質であるレボドパ(L-DOPA)をこのような高齢者に投与すると、学習速度もパフォーマンスも向上し、若い成人とほぼ同等になった。これらの結果は、高齢者における報酬を得るための意思決定エラーがドーパミンの減少によるものであり、レボドパ投与により改善する現象であることを示している。
論文での高齢者は32例で平均年齢は70歳、若い成人は22例で平均年齢は25歳です。このくらいの年齢の高齢者は計算高いのかと思っていましたが、この論文によるとそうでもなく、損得に基づく行動も加齢とともに衰えるようです。
レボドパはパーキンソン病に用いられる薬物で、副作用として、不随意運動、吐き気や嘔吐があり、高齢者では、気分の変調や幻覚、妄想、不眠あるいは眠気などの精神症状が出やすいことが知られています。また、この論文によると、レボドパなしでも若者並みの報酬行動がとれる高齢者や若い成人では、レボドパの投与によりかえってエラーを起こしやすいそうです。
ドーパミンが減りすぎても増えすぎてもダメということは、レボドパを飲めば誰でも上手く報酬行動がとれるわけでもないということです。おもしろい論文ですが、得られた成果を実生活へ応用するのは難しいかもしれません。
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