禁煙のメリットは体重が増えても相殺されない

禁煙のメリットは体重が増えても相殺されない
以下は、記事の抜粋です。


禁煙後に体重が増えたとしてもその増加幅が5kg以内なら、喫煙を続けた人よりも循環器疾患の発症リスクが有意に低下することを示唆するデータが報告された。国立がん研究センターなどによる多目的コホート研究(JPHC研究)によるもの。なるべく若いうちに禁煙した方が、より大きなメリットを得られることを示すデータも得られた。

禁煙が循環器疾患の予防にとって重要であることは、多くの研究から明らかになっている。一方で、禁煙によって体重が増えてしまうことがある。体重の増加は循環器疾患のリスク因子の一つであり、せっかくの禁煙の効果を相殺してしまうことも考えられる。しかし、禁煙後の体重増加が、実際に禁煙のメリットを弱めるのかどうかは、よく分かっていなかった。

今回発表された研究の対象は、研究開始時と開始5年後の調査時にがんや循環器疾患の既往がなかった45~74歳の男女6万9,910人。中央値14.8年追跡し、喫煙状況と、体重増加、循環器疾患発症との関連を検討した。

研究開始時と5年後のアンケートの回答結果から、対象者全体を喫煙状況により下記の4群に分類した。研究開始時と5年後ともに喫煙している「喫煙者」、過去に喫煙していたが研究開始時と5年後ともに喫煙していない「長期禁煙者」、過去から研究開始5年後にかけて喫煙したことがない「非喫煙者」、研究開始時に喫煙していて5年後には禁煙していた「新規禁煙者」。また、新規禁煙者についてはさらに、禁煙後の体重増加なし、0.1~5.0kg増加、5.1kg以上増加の3群に分類した。

追跡期間中に、4,023人が循環器疾患(虚血性心疾患889人、脳卒中3,217人)を発症した。循環器疾患発症リスクに影響を及ぼし得る因子を統計学的に調整し、それらの影響をできるだけ取り除いた上で、喫煙者を基準としてその他の群の循環器疾患発症リスクを解析した。

その結果、長期禁煙者の循環器疾患発症ハザード比(HR)は0.56、非喫煙者はHR0.60で、いずれも喫煙者よりリスクが有意に低かった。また新規禁煙者でも、禁煙後に体重が増加していない群はHR0.66、体重増加幅が0.1~5.0kgの群はHR0.71と、喫煙者よりリスクが有意に低かった。体重増加幅が5.1kg以上の群はHR0.70であり喫煙者のリスクと有意差がなかったが、研究グループは、この条件の該当者数が少ないために統計学的有意差に至らなかったと説明している。

このほかに年齢層別の解析からは、60歳未満の新規禁煙者は60歳以上の新規禁煙者よりも、循環器疾患のリスクがより低いことが分かった。


タバコをやめると太るからやめられないとか、タバコをやめて太ってしまったというヒトは多いですが、それでもやめた方が健康には良いという報告です。この報告は循環器疾患の話だけですが、肺がんも考えると、やっぱりタバコはやめた方が良いという結論になると思います。

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