禁酒すると1日後・1週間後・1カ月後・半年後・1年後の体になにが起こるのか?
以下は、記事の抜粋です。
オーストラリアのカーティン大学のニコール・リー氏が、「禁酒すると体に現れる変化を示すタイムライン」を作成しました。
◆禁酒から1日後
体からアルコールが抜けるには約24時間ほどしかかからないため、禁酒による効果は早くも1日後から現れ始めます。たとえば、アルコールは排尿回数を増やして脱水症状を引き起こしますが、アルコールが体外に排出されると利尿作用がなくなるため、脱水症状が軽減されて消化や脳機能、エネルギーに改善がみられるとのこと。
毎日のように酒を飲んでいた人は、体内にアルコールがない状態に慣れるまで少し時間がかかるかもしれず、時には体調が悪くなる可能性もあります。睡眠障害や気分の変化、発汗、震えといった症状が出る場合もありますが、これはアルコールを断ってから約1週間もすれば治るとのことです。
◆禁酒から1週間後
アルコールは摂取した直後こそ眠気を催しますが、長期的に見ると睡眠サイクルを乱します。そのため、アルコールを断ってから約1週間が経過すると、睡眠の質が向上します。
さらに、アルコールを処理する肝臓は適度な飲酒でもダメージを受けていますが、アルコールを断つと速やかに再生します。肝臓脂肪を減らし、軽度の瘢痕や組織の損傷を治癒するには、約1週間ほどの禁酒でも効果があるかもしれないそうです。
さらに、アルコールは少量であっても脳機能を低下させる可能性があるため、軽度~中度の飲酒者であれば禁酒から数日以内に脳の健康状態が改善される可能性があるとリー氏らは説明しています。
◆禁酒から1カ月後
アルコールは気分のコントロールを困難にして、不安やうつ病の症状を悪化させる可能性があります。禁酒をすると気分のコントロール能力が回復し、数週間後にはほとんどの人が気分の向上を感じ始め、大酒飲みの人でも禁酒から1~2カ月後には気分が良くなると報告しています。
アルコールには多くのカロリーが含まれているため、禁酒によって体重や体脂肪の減少も期待できます。さらに、アルコールは老けて見える原因の脱水症状や炎症の原因でもあるため、禁酒によって肌の状態が改善し、より若々しい状態を保つのにも役立つとのこと。
アルコールは正常な胃の機能を阻害するため、消化不良や胸焼け、下痢などを引き起こす可能性がありますが、これらの症状も禁酒から4週間以内に収まります。1カ月間禁酒することで、高血糖につながるインスリン抵抗性も25%減少し、血圧も6%下がり、がんに関連する成長因子も減るとリー氏らは説明しました。
◆禁酒から6カ月後
もともとの飲酒量が適度であった人の場合、禁酒からおよそ6カ月で肝臓へのダメージは完全に回復する可能性があると報告されています。また、もともと大酒飲みだった人でも、禁酒から約6カ月が経過すると免疫システムが改善され、全体的に健康になったと実感できるそうです。
◆禁酒から1年以上が経過
アルコールは心臓病・脳卒中・2型糖尿病・さまざまながん・精神疾患など、さまざまな慢性疾患の原因あるいは一因となるため、禁酒または節酒によってこれらのリスクを軽減できます。
また、高血圧は世界で最も死亡リスクの高い危険因子であり、収縮期血圧が120mmHgよりたった2mmHg上昇するだけで脳卒中の死亡率が10%、冠動脈疾患による死亡率は7%も増加するとのこと。アルコールには血圧を上昇させる作用があるため、禁酒によってこれらのリスクも下げることが可能です。血圧の低下は腎臓病や眼疾患、勃起不全などのリスクも軽減するそうです。
継続的に禁酒をするとあらゆる種類のがんリスクも低下することがわかっており、もともとの飲酒量が少ない人でも禁酒によってアルコール関連のがんリスクが4%低下し、重度の飲酒者は摂取量を中程度に減らしただけでもがんリスクが9%減ることが示されました。
元記事のタイトルは「禁酒は1日でも効果がある-禁酒による健康への効果を年表にまとめました。」です(元記事をみる)。
日本では、妊婦でなくても飲酒がごくわずかでも健康に悪いことは、ほとんど知られていません。その結果かもしれませんが、日本のアルコール依存症の人口は、患者数が約80万人以上、予備軍を含めると約440万人と推定されています。飲酒人口は6000万人程度と推定されており、そのうち約230万人がアルコール依存症と推定されています。これは、飲酒者の約26人に1人がアルコール依存症である計算になります。



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