京大・山中教授が講演「iPS細胞、創薬に活用を」… そうかなあ?

京大・山中教授が講演「iPS細胞、創薬に活用を」
以下は、記事の抜粋です。


大阪市内の講演会で、山中教授は「iPS細胞のより効果的な使い方は薬の開発だ」と話し、高齢化の進展に伴って増える神経難病や関節疾患などの治療薬開発でも活用するよう訴えた。

山中教授はiPS細胞の応用研究は「健康寿命を延ばすのが目標だ」と説明。昨秋に世界初の移植手術を目の難病患者に実施した理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーらの臨床研究や、神経難病のパーキンソン病、血小板やがん治療向けで移植に向けた研究が進んでいる状況を紹介した。

そのうえで「対象とする病気の数の多さなどから考えて、iPS細胞の効果的な使い方は(細胞を患者へ移植する再生医療ではなく)薬の開発だと思う」との認識を示した。

京大が武田薬品と今春から始めた大規模な共同研究計画では、京大の研究者が武田の湘南研究所に出向いたり常駐したりして、心臓病や糖尿病向けの創薬にiPS細胞を活用する。武田との共同研究は、iPS細胞を使う創薬研究の試金石になる。


巨大な売り上げを誇ったリピトール®(高脂血症治療薬、一般名:アトルバスタチン)やアクトス®(糖尿病治療薬、一般名:ピオグリタゾン)などのブロックバスターの後発品が出始めたた2010年あたり(2010年問題、”patent cliff”)から、世界の製薬大手は新薬開発よりも後発品市場を重視するようになってきています。

例えば、ファイザーは2011年、研究開発(R&D)部門で数十億ドルの予算カットと数千人の解雇を行うと同時に、後発医薬品を「エスタブリッシュ医薬品」とよび、後発品市場に本格参入しました。

これまでも何度も書きましたが、先進諸国ではヒトの平均寿命が生物学的限界に近づきつつあり、「新薬の登場よりも、特許切れのペースが速い」状況の中で、「新薬を次々と研究開発して儲ける」という製薬会社のビジネスモデルは過去のものになりつつあります。

このような状況の変化を受けて、他の製薬会社も、ジェネリック市場に参入すると同時に、研究はベンチャーに、臨床開発はCROにアウトソースし、マーケティングと監督官庁との交渉に特化した「商社」的なものに変化してきました。

日本の状況は少し異なります。エーザイが中国のジェネリック(後発)医薬品企業を買収したのはごく最近のことです。武田やアステラスはまだ本格的には後発品市場には参入していません。政府も、安倍政権が医薬品産業を成長戦略に期待される産業として位置づけているためか、「製薬産業をもっと国際的な競争力のある産業に育成していくことが重要」などとして、「創薬」を推奨しています。

しかし、「心臓病や糖尿病向けの新薬」を創薬しても、「日本の成長戦略」を担うようなブロックバスターにはなれないことぐらいは、日本の企業も知っているはずです。まさか、皆が皆、補助金目当てではないと思いますが、、、、

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コメント

  1. ルイ より:

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    ブログ、楽しいです。
    血液型の性格判断は、正しくないということですが、血液型別ダイエットはどうでしょうか?

  2. tak より:

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    >ルイさん
    正しくないというよりは、正しいと認められる根拠(証拠)がないです。

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