メトホルミンのアンチエイジング効果を調べる臨床試験がアメリカでスタート

120歳まで寿命を延ばすアンチエイジング薬「メトホルミン」、ついにアメリカで臨床テストが始まる
以下は、記事の抜粋です。


以前から糖尿病の予防薬として用いられてきた「メトホルミン」に、寿命を延ばす効果や抗がん効果があると、ウェールズ大学を始めとした研究機関が発表しています。
健康な人なら120歳まで生きられるようになるとさえ言われている、このアンチエイジング薬、いよいよアメリカで臨床テストが始まるそうです。

「メトホルミン」はもともと糖尿病治療薬で、1959年にフランスで承認されて以来、世界各国で広く用いられてきました。ところが処方された糖尿病患者がそうでない人より長生きしていることがわかり、アンチエイジング効果があるのではと注目されたのです。(通常は糖尿病患者の平均寿命のほうが短いため)

その後、動物実験を重ね、動物たちの寿命を延ばしていることが明らかになり、人体でも同様の効果が得られるかの臨床実験をアメリカ食品医薬品局が許可しました。(2016年に開始予定)

現在、この革新的な実験に対する基金集めと、70~80歳で、ガン、心臓病、痴ほう症を患っている3000人のテスターを募集をしています。


記事に書かれている「処方された糖尿病患者がそうでない人より長生きしている」ことを示唆する論文のタイトルは、”Can people with type 2 diabetes live longer than those without? A comparison of mortality in people initiated with metformin or sulphonylurea monotherapy and matched, non-diabetic controls”です(論文をみる)。

上の論文の研究は、予め患者を無作為に分けて行う「前向」き研究ではなく、英国の一般医から収集した人口の約10%分に相当する臨床データを網羅するCPRD(Clinical Practice Research Datalink)を解析した「後向き」コホート研究ですので、さまざまな交絡因子の影響が入っている可能性があります。例えば、腎機能が低下しているとメトホルミンは使えないので、初めから腎障害のある患者はメトホルミン群から除外されていることになります。

それでも、CPRDからのデータには、メトホルミンで治療を受けた計78,241人と、スルホニル尿素で治療を受けた計12,222人、さらにこれらの患者と様々な特性が一致する非糖尿病者90,463人が含まれているので、数的には十分です。これらの約180,000人の中、6年間の解析期間中に約8,000人が死亡しました。

解析の結果、メトホルミン投与群の生存率は、スルホニル尿素(SU)薬を投与された糖尿病群よりも38%高いだけでなく、非糖尿病群よりも15%高いことが明らかになったというのです。この15%を、現在65歳のヒトで考えると男女とも約2年半長生きすることになるようです。

通常は非糖尿病群よりも短命であると考えられる糖尿病群の生存率を、わずかながらも有意に改善したとする本論文の結果と、線虫やマウスでの動物実験の報告などを合わせて、FDAは今回の臨床試験を許可したと思います。「70~80歳で、ガン、心臓病、認知症を患っている3,000人」を対象とした「前向き」試験で有意な効果が認められれば、「メトホルミンのアンチエイジング効果」は本物だと思います。

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