以下は、記事の抜粋です。
アルコール依存症患者にバクロフェンを1年にわたって投与したところ、アルコール消費量が大幅に減り、飲酒に関連するマーカーの値や肝機能などが改善した。
バクロフェンはγ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体で、中枢性筋弛緩薬として脳血管障害などによる痙性麻痺に使われている。Barrault氏らは、アルコール依存症に対するバクロフェンの有効性と安全性を検討するため、単群、オープンラベルの前向き試験を行った。
2010年6月~2013年9月にアルコール依存症の専門外来を受診した患者100人にバクロフェンを1年にわたって投与し、有効性と安全性を評価した。バクロフェンは15mg/日で開始し、アルコールへの依存症状がなくなるまで、週単位で漸増した。
患者の平均年齢は53歳、男性が75%、Child-Pugh分類Aの肝硬変が65%、Bが20%、Cが15%で、16%が膵炎を合併していた。平均飲酒期間は15年だった。1年間のバクロフェンによる治療を完遂したのは83人。バクロフェンの投与量の中央値は40mg/日だった。
1年間の治療後、1日のアルコール消費量の中央値は、106gから18gに減った。83人中77人が、アルコール消費量が治療前の半分以下になった。内訳は、禁酒が44人、アルコール消費量30g/日以下が20人、同30g/日超が13人だった。
禁酒に成功した44人とアルコール消費量30g/日以下になった20人、計64人の解析では、飲酒に関連するマーカーの値や肝機能の改善が確認された。有害事象は20人で報告され、2人がバクロフェンを中止した。肝機能や腎機能の低下はなかった。
バクロフェンがアルコール依存症に効果があることは、以前にも関連記事で紹介しました。
厚労省のサイトによると、アルコール依存症とは、「大切にしていた家族、仕事、趣味などよりも飲酒をはるかに優先させる状態」です。具体的には、飲酒のコントロールができない、離脱症状がみられる、健康問題等の原因が飲酒とわかっていながら断酒ができない、などです。 さらに、アルコール依存症の疑いのある人は440万、治療の必要なアルコール依存症の患者さんは80万人いると推計されています。
このように、アルコール依存症は重要な疾患ですが、NHKまでがウイスキーの宣伝のような番組を朝ドラに採用するなど、政府もメディアも飲酒に対して寛容なので、日本のアルコール依存症患者が減少する可能性は低そうです。
バクロフェンがアルコール依存症に効果があるとする今回の報告は、以前の報告の報告とは別のグループによるものです。また以前の報告は「後ろ向き」試験でしたが、今回のものは「前向き」試験なので、学会発表レベルではありますが、効果があるとする結論の信頼性が高いです。今後の展開に期待したいと思います。
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