85歳以上の日本人、高血圧は死亡リスクに影響する?しない?
以下は、記事の抜粋です。
日本人高齢者の大規模コホート研究において、高血圧は65~74歳および75~84歳では全死亡リスクおよび心血管系死亡リスクを上昇させたが、85歳以上では上昇させなかったことを岡山大学/就実大学の赤木氏らが報告した。
本研究は、2006年4月~2008年3月に健康診断を受診した岡山市の65歳以上の5万4,760人を登録した。参加者は血圧によりC1からC6までの6つのカテゴリーに分けた(C1:SBP<120、DBP<80、C2:120≦SBP<130、80≦DBP<85、C3:130≦SBP<140、85≦DBP<90、C4:140≦SBP<160、90≦DBP<100、C5:160≦SBP<180、100≦DBP<110、C6:180≦SBP、110≦DBP)。
血圧と全死亡および心血管疾患死亡との関連を評価するため、C3を基準に各カテゴリーの全死亡のハザード比(HR)を計算した。さらに年齢層(65~74歳、75~84歳、85歳以上)ごとに解析した。
主な結果は以下のとおり。
・全死亡の完全調整済みHRは、C5で1.11、C6で1.23であった。
・心血管死亡の完全調整済み部分分布HRは、C4で1.11、C5で1.19、C6で1.36であった。
・年齢層別では、C4、C5、C6 の 全死亡の完全調整済みHRは、65~74 歳では1.14、1.26、1.75、75~84 歳では1.06、1.16、1.19、85 歳以上では 0.95、0.99、1.22であった。
・高齢になるほど低血圧のリスクが増加し、C1のHRは85歳以上で1.28であった。
元論文のタイトルは、”Impact of high blood pressure on the risk of mortality among Japanese people aged 65 years and older(65歳以上の日本人における高血圧の死亡リスクへの影響)”です(論文をみる)。
論文には、「研究参加者は年齢が高く、健康診断を受けており、一般人口よりも健康意識が高い」と書かれているように、健康診断の結果だけで血圧の死亡リスクへの影響を評価する限界があります。
それにしても、この論文の結果は、少なくとも84歳以下では、ベースラインの高血圧(140/90 mmHg 以上)は、全死亡率および心血管疾患による死亡率のリスクを上昇させることを示しています。
「血圧は下げるな」とか「血圧と血糖値はちょっと高いぐらいがいい」とかいう記事がありますが、甘い言葉に騙されないようにしてください。大槻さんや和田さんは、印税は取っても責任は取ってくれません。
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