勃起不全治療薬がアルツハイマー病を予防?

ED治療薬がアルツハイマー病を予防?
以下は、記事の抜粋です。


勃起障害(ED)治療薬が、アルツハイマー病(AD)のリスクを押し下げる可能性を示唆するデータが報告された。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)のRuth Brauer氏らの研究によるもの。

シルデナフィル(商品名はバイアグラ)、バルデナフィル(同レビトラ)、タダラフィル(同シアリス)というED治療薬は、作用機序から「ホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)」と呼ばれる。これらのPDE5iには血管を拡張する作用があり、また血液脳関門を通過することができ、動物実験では神経保護作用のあることが示されている。ただし、ヒトの認知機能との関連のエビデンスは少ない。Brauer氏らは、EDと診断された40歳以上の男性26万9,725人(平均年齢58.5±10.0歳)の医療記録を解析し、ヒトの認知機能に対するPDE5iの影響を検討した。

中央値5.1年(四分位範囲2.9~8.9)の追跡期間中に1,119人が新たにADと診断されていた。PDE5iの処方の有無で二分すると、処方されていた群では14万8,338人のうち749人がADを発症し、1万人年当たりの発症率は8.1だった。一方、PDE5iが処方されていなかった群は12万1,387人のうち370人がADを発症し、1万人年当たりの発症率は9.7だった。AD発症リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、喫煙・飲酒習慣、基礎疾患など)を調整後、PDE5iが処方されていた群は処方されていなかった群に比べて、AD発症リスクが18%低いことが明らかになった。

この研究のみでは、PDE5iがADのリスクを抑制すると結論付けることはできない。しかしBrauer氏は、今回の研究結果がAD関連研究の興味深い方向性を示していると考えている。


元論文のタイトルは、”Phosphodiesterase Type 5 Inhibitors in Men With Erectile Dysfunction and the Risk of Alzheimer Disease(勃起不全男性におけるホスホジエステラーゼ5型阻害薬とアルツハイマー病のリスク)”です(論文をみる)。

関連記事で紹介したように、シルデナフィルには神経保護効果があり、有毒なタウタンパク質の量を低下させる可能性があることは既に報告されていました(記事をみる)。18%減らすというのは微妙な数字だと思います。

有効ではなかったとする以下のような論文もあります。記事をみる。
No association between initiation of phosphodiesterase-5 inhibitors and risk of incident Alzheimer’s disease and related dementia: results from the Drug Repurposing for Effective Alzheimer’s Medicines study(ホスホジエステラーゼ-5阻害薬の投与開始とアルツハイマー病および関連認知症の発症リスクとの間に関連はない:効果的なアルツハイマー病治療薬のための薬剤再利用(Drug Repurposing for Effective Alzheimer’s Medicines)試験の結果)

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